『麒麟がくる』あれこれ「帰蝶のはかりごと」2020-04-14

2020-04-14 當山日出夫(とうやまひでお)

『麒麟がくる』第十三回「帰蝶のはかりごと」
https://www.nhk.or.jp/kirin/story/13.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年4月7日
『麒麟がくる』あれこれ「十兵衛の嫁」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/07/9232519

光秀が歴史の表舞台にでてくるのはまだ先のことになるようだ。

この回を見て思ったことを書けば、次の二点になるだろうか。

第一には、帰蝶のこと。

美濃から尾張に送られた人質であったはずの帰蝶である。だが、その帰蝶が、実は歴史の歯車を裏で動かしていた。まあ、これはドラマであるから、そのように描いているのであろうが、これはこれとして面白い。

伊呂波太夫もただの旅芸人ではない。その伊呂波太夫に傭兵をあつめるように依頼することになる帰蝶も、ただものではない。いったいあれほどの砂金をどのような手段で差配しているというのだろうか。

第二には、道三と高政のこと。

この二人は一触即発の雰囲気である。はたして本当の父と子であるのか、それも疑わしいといえばいえる。この二人をとりなそうとする、母である深芳野は、いったい何を思っているのか。ただ、その姿は妖艶でもある。(ちょっと化粧が濃いような気もしないではないが。)

以上の二点が、この回を見て思ったことなどである。

さらに書いてみるならば……藤吉郎が登場していた。後の豊臣秀吉である。これで、戦国のおもだった登場人物が出そろったとでもいえるだろうか。

ところで、ドラマのなかで読んでいた本が、どうやら『徒然草』とおぼしい。今となっては、『徒然草』は、古典の定番だが、『徒然草』が「古典」になったのは、比較的新しいということもできる(近世になって版本が刊行されるようになってから)。このあたりは、歴史考証の面で、ちょっと考えていいところかもしれない。

ドラマの最後は、聖徳寺での会見を前に、信長の一行を道三がのぞき見るシーンであった。長い槍、それから、多くの鉄砲。このあたりのことは、たしか『国盗り物語』で司馬遼太郎が描いていたところかと覚えている。また、この会見も、ある意味では、帰蝶の姿が背後に見えるという筋書きでもあった。

さて、帰蝶は、これからこのドラマでどのような役割を果たすことなるのだろうか。次回以降の展開を楽しみに見ることにしよう。

2020年4月13日記

追記 2020-04-21
この続きは、
やまもも書斎記 2020年4月21日
『麒麟がくる』あれこれ「聖徳寺の会見」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/21/9237651