『戦争と平和』(二)トルスト/岩波文庫2020-04-25

2020-04-25 當山日出夫(とうやまひでお)

戦争と平和(2)

トルストイ.藤沼貴(訳).『戦争と平和』(二)(岩波文庫).岩波書店.2006
https://www.iwanami.co.jp/book/b248227.html

続きである。
やまもも書斎記 2020年4月18日
『戦争と平和』(一)トルストイ/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/18/9236539

岩波文庫の第二冊は、第一部の第三編と第二部の第一・二編をおさめてある。ここまで読んで思うことは、次の二点ぐらいある。

第一に、ピエールとフリーメーソンのこと。

以前に新潮文庫で読んだときにも、フリーメーソンのことが出てきて、ちょっととまどった、というか、はっきりいってよく分からなかったところである。フリーメーソンについて、知識を得ようと思って、いろいろと見てはみるのだが、どうもよくわからない。これは、キリスト教を社会の基盤としていない日本においては、いたしかたのないところかもしれないが。

ただ、この小説は、これから、ピエールとフリーメーソンをめぐって大きく物語が展開することになる。このことは以前に読んでいるので記憶にに残っている。『戦争と平和』は、宗教にも踏み込んでいる作品であると認識している。

第二に、戦争というもの。

今の日本において「戦争」といって何をイメージするだろうか。この小説には、「戦闘」のシーンはかなり出てくる。そして、そこにおける人間のあり方に、ふと共感して読みふけってしまうところもある。

だが、この岩波文庫の第二冊の終わりのところで、一応の講和がなりたったあと、ロシアとフランスの両軍の軍人(といっていいのだろうか、ニコライなど)が、親しく歓談している様子が描かれる。ここのあたり、ナポレオンの時代の「戦争」とはいったいどんなものだったのか、少なくとも、第二次世界大戦とか、ベトナム戦争のようなものをイメージして読んではいけないのだろうということは、なんとなく分かる。

このあたり、「戦争」といっても、国民国家を総動員しての総力戦、ということではないようだ。いや、近代の国民国家というものが、誕生してくるのは、ナポレオン以降のことであると理解しておくべきかもしれない。(世界史の知識というと、高校のときに習ったぐらいしかない人間には、どうも理解が難しいところがある。)

以上の二点が、岩波文庫の第二冊を読んで思うことなどである。続けて、三冊目を読むことにしたい。

2020年3月4日記

追記 2020-05-14
この続きは、
やまもも書斎記 2020年5月14日
『戦争と平和』(三)トルストイ/岩波文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/05/14/9246472

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