オンライン授業あれこれ(その四) ― 2020-05-16
2020-05-16 當山日出夫(とうやまひでお)
続きである。
やまもも書斎記 2020年5月9日
オンライン授業あれこれ(その三)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/05/09/9244587
今のところ、前期の間は、オンライン授業継続ということになっている。京都や大阪の緊急事態宣言が解除されても、大学の再開ということは一番最後になるだろう。
これまでに、四回、学生には教材などの送信をしてきている。基本は、毎回配っている講義プリント(A4で1~2ページ)に、解説を加えたものである。だいたい4ページぐらいになる。ここまでのことで思うことなど書いておく。二点ほど書いてみる。
第一に、話したいことの要点だけを整理して書くのならば、A4で2ページあれば十分だということである。簡潔にポイントだけ整理するならば、これで十分な情報は伝えられる。この意味では、教材プリント配布方式も、教育的には、ある程度は有効だろうと判断している。(音声データ付きのPowerPointスライドという方式もあるが、これも、要点だけ文字にしてしまえば、同じような分量になるだろうと思う。)
これもいいかえれば、A4で2~4ページほどのことを、毎回90分かけて、何を話しているかということにもなる。考えてみれば、半分は、余談、雑談の類である。あるいは、はなしことばの冗長性といってもいいかもしれない。
実は、これこそが、本当に大切なものであるともいえる。私は、今の時点で第一線の研究者が考えているような問題については、板書もしないし、もちろんプリントにも書かないで、ただ話すだけにしている。大事なことは、黒板には書きません、話すだけにしておきますと言って話しをしている。プリントに書いていることは、その前提として、共有しておくべき基本的知識ということに限定している。(だから、ある意味では、現時点の学問的な知見からすれば、問題がありうることであっても、とりあえず、それを知っておくべきこととして学生にはしめすことにしている。)
ともあれ、最低限これぐらいの知識はもっておいてくれないと、専門書や論文などを読んでも理解できないだろう、その基本知識の部分は、なんとか教えることができるだろうというのが、今のところの判断である。これ以上のことは、まさに学生が自分の勉強として、専門の論文とか研究書を読むことで、考えることになる。(しかし、今、図書館が基本的に閉館になっているのは、いろいろと教育的には問題があると思う。開架書庫の本を見て回るだけでも、勉強になることなのだが、今はそれができない。)
第二に、オンデマンドでの教材配信という方式は、PCスキルや、通信容量の点からは、一番問題が少ない方式ではある。しかし、その一方で、肝心の学生の勉学へのやる気の点からは、ハードルが高いかもしれない。
まず、大学のLMS(Learning Manegement System)に教材をおいておいても、アクセスして読んでくれない。毎週水曜日の授業であるので、毎週水曜日の朝には、LMSにファイルをアップロードしておく。しかし、まったくアクセスしない学生が少なからずいる。
これも、考えてみれば、普通に教室で授業を始めたからといって、出席率が100%ということはない。最初のうち、多く出てきているときでも、7~8割といったところだろうか。例年、5月の連休が終わって、おちついてきたころになると、半分ぐらいになる。そして、試験のときだけは学生が出てくる。しかし、試験といっても、これも100%出てくるということはない。これまでの経験では、これもおよそ7~8割といったところである。履修登録はしても、試験にも出てこない学生がが多い。
オンラインになってからといって、いきなり学生の勉学意欲が向上するというものではないであろう。むしろ、逆に、大学という場があって、そこで、時間割で決まった時間に出席しているという、ある種の強制力、あるいは、習慣のようなものがあって、続いている。それを、オンラインで、しかも、オンデマンド方式でやるとなると、学生自身が自分のやる気を維持しつづけなければならない。これは、ある意味で、ハードルの高いことである。
しかし、反面、これまでの「学校」というシステム、強制的に教室に時間割どおりに出てくる、ということになじめなかった学生が、オンライン授業であるならば、なんとかついて来ることができている、この可能性も考えてみなければならない。
総合的に考えれば、普通の授業を時間割どおりに教室で行うのと、オンデマンドのオンライン方式と、トータルでは同じようなものかもしれないと思う。もちろん、オンライン授業のなかには、リアルタイム双方向通信による(例えば、ZOOMやWebexなどの利用)ものもあってよい。ここは、多様性を考えてみるべきだと思う。
以上の二点が、今のところ考えているところである。
前期の間は、オンライン授業が続くとして、その間、自分なりにいろいろと考えてみたいと思っている。
2020年5月15日記
続きである。
やまもも書斎記 2020年5月9日
オンライン授業あれこれ(その三)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/05/09/9244587
今のところ、前期の間は、オンライン授業継続ということになっている。京都や大阪の緊急事態宣言が解除されても、大学の再開ということは一番最後になるだろう。
これまでに、四回、学生には教材などの送信をしてきている。基本は、毎回配っている講義プリント(A4で1~2ページ)に、解説を加えたものである。だいたい4ページぐらいになる。ここまでのことで思うことなど書いておく。二点ほど書いてみる。
第一に、話したいことの要点だけを整理して書くのならば、A4で2ページあれば十分だということである。簡潔にポイントだけ整理するならば、これで十分な情報は伝えられる。この意味では、教材プリント配布方式も、教育的には、ある程度は有効だろうと判断している。(音声データ付きのPowerPointスライドという方式もあるが、これも、要点だけ文字にしてしまえば、同じような分量になるだろうと思う。)
これもいいかえれば、A4で2~4ページほどのことを、毎回90分かけて、何を話しているかということにもなる。考えてみれば、半分は、余談、雑談の類である。あるいは、はなしことばの冗長性といってもいいかもしれない。
実は、これこそが、本当に大切なものであるともいえる。私は、今の時点で第一線の研究者が考えているような問題については、板書もしないし、もちろんプリントにも書かないで、ただ話すだけにしている。大事なことは、黒板には書きません、話すだけにしておきますと言って話しをしている。プリントに書いていることは、その前提として、共有しておくべき基本的知識ということに限定している。(だから、ある意味では、現時点の学問的な知見からすれば、問題がありうることであっても、とりあえず、それを知っておくべきこととして学生にはしめすことにしている。)
ともあれ、最低限これぐらいの知識はもっておいてくれないと、専門書や論文などを読んでも理解できないだろう、その基本知識の部分は、なんとか教えることができるだろうというのが、今のところの判断である。これ以上のことは、まさに学生が自分の勉強として、専門の論文とか研究書を読むことで、考えることになる。(しかし、今、図書館が基本的に閉館になっているのは、いろいろと教育的には問題があると思う。開架書庫の本を見て回るだけでも、勉強になることなのだが、今はそれができない。)
第二に、オンデマンドでの教材配信という方式は、PCスキルや、通信容量の点からは、一番問題が少ない方式ではある。しかし、その一方で、肝心の学生の勉学へのやる気の点からは、ハードルが高いかもしれない。
まず、大学のLMS(Learning Manegement System)に教材をおいておいても、アクセスして読んでくれない。毎週水曜日の授業であるので、毎週水曜日の朝には、LMSにファイルをアップロードしておく。しかし、まったくアクセスしない学生が少なからずいる。
これも、考えてみれば、普通に教室で授業を始めたからといって、出席率が100%ということはない。最初のうち、多く出てきているときでも、7~8割といったところだろうか。例年、5月の連休が終わって、おちついてきたころになると、半分ぐらいになる。そして、試験のときだけは学生が出てくる。しかし、試験といっても、これも100%出てくるということはない。これまでの経験では、これもおよそ7~8割といったところである。履修登録はしても、試験にも出てこない学生がが多い。
オンラインになってからといって、いきなり学生の勉学意欲が向上するというものではないであろう。むしろ、逆に、大学という場があって、そこで、時間割で決まった時間に出席しているという、ある種の強制力、あるいは、習慣のようなものがあって、続いている。それを、オンラインで、しかも、オンデマンド方式でやるとなると、学生自身が自分のやる気を維持しつづけなければならない。これは、ある意味で、ハードルの高いことである。
しかし、反面、これまでの「学校」というシステム、強制的に教室に時間割どおりに出てくる、ということになじめなかった学生が、オンライン授業であるならば、なんとかついて来ることができている、この可能性も考えてみなければならない。
総合的に考えれば、普通の授業を時間割どおりに教室で行うのと、オンデマンドのオンライン方式と、トータルでは同じようなものかもしれないと思う。もちろん、オンライン授業のなかには、リアルタイム双方向通信による(例えば、ZOOMやWebexなどの利用)ものもあってよい。ここは、多様性を考えてみるべきだと思う。
以上の二点が、今のところ考えているところである。
前期の間は、オンライン授業が続くとして、その間、自分なりにいろいろと考えてみたいと思っている。
2020年5月15日記
追記 2020-05-23
この続きは、
やまもも書斎記 2020年5月23日
オンライン授業あれこれ(その五)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/05/23/9249568
この続きは、
やまもも書斎記 2020年5月23日
オンライン授業あれこれ(その五)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/05/23/9249568
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