『小僧の神様・城の崎にて』志賀直哉/新潮文庫2020-06-19

2020-06-19 當山日出夫(とうやまひでお)

小僧の神様・城の崎にて

志賀直哉.『小僧の神様・城の崎にて』(新潮文庫).新潮社.1968(2005.改版)
https://www.shinchosha.co.jp/book/103005/

新潮文庫は、志賀直哉の短篇を二冊に作ってある。これは、その後半の部分になる。大正六年から、大正一五年までの作品を収録してある。

このうち、「城の崎にて」については、以前にちょっと考えてみたことがある。

やまもも書斎記 2016年6月23日
志賀直哉『城の崎にて』は小説か随筆か
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/23/8117250

これは、「城の崎にて」が、岩波文庫の「日本近代随筆選」に収録されていることについて、ちょっと思ったことを書いてみたものである。これを書いたときに読んでから、今度は、志賀直哉の短篇集という形で、再度読んでみたことになる。

やはり、私は、「城の崎にて」は小説であると思う。その理由は、すでに書いたとおりである。しかし、随筆としても読めなくはない。そのように読むのは、現代の読者の自由ということになる。

「小僧の神様」は、確か、中学か高校の国語の教科書に載っていたのを覚えている。

若いときに読んだ感想としては、小僧の視点で読んでいたかと思う。が、今になって読みかえしてみると、むしろ、小説として関心がむくのは、小僧に寿司を御馳走してやった男の方にである。なぜ、見ず知らずの小僧に寿司を御馳走してやる気持ちになったのか、その心理の綾を読みとるのが、この小説を読む楽しみであると感じるようになってきている。

ところで、志賀直哉という作家は長生きしている。文庫本の年譜によれば、昭和四六年まで生きている。八八才で亡くなったとある。これは、私が中学生のときのことになる。だが、私の記憶には、高名な作家である志賀直哉が亡くなったというニュースの記憶がない。「小説の神様」の死は、その当時、どのように報じられたのか、ちょっと気になるところでもある。

2020年6月18日記

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