『源氏物語』(8)行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉2020-07-19

2020-07-19 當山日出夫(とうやまひでお)

源氏物語(8)

阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男(校注・訳).『源氏物語』(8)行幸・藤袴・真木柱・梅枝・藤裏葉.小学館.1998
https://www.shogakukan.co.jp/books/09362088

続きである。
やまもも書斎記 2020年7月17日
『源氏物語』(7)初音・胡蝶・蛍・常夏・篝火・野分
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/07/17/9268903

第八冊目である。「行幸」から「藤裏葉」までをおさめる。

読んで思うことはいろいろあるが、二点ほど書いてみる。

第一に、「玉鬘」の話しが終わることになる。髭黒の大将と一緒になって、玉鬘は光源氏のもとを去ってしまう。(この後、「若菜」の巻にも玉鬘は登場することにはなる。)以前にこのあたりのことを読んだときには、髭黒の大将の北の方の行為……もののけにとりつかれて、夫に香炉の灰をあびせかける……の説話的な面白さに気がむいていた。今回、読んでみて、その面白さはもちろんあるのだが、それにいたるまでの様々な登場人物……光源氏は無論のこと、玉鬘、夕霧、雲井雁、頭中将、などなど……のおりなす心理のドラマを、見てとることができるかと感じて読んだ。まさにこのあたりは、近代のリアリズム小説の描き出す心理ドラマに、十分に通じるものがあると思う。

第二に、「梅枝」「藤裏葉」の巻になって、明石の姫君が入内する。このあたりが、光源氏の人生の絶頂と言っていいことになるのだろう。身分は、准太上天皇にまで上りつめる。だが、これと同時に、光源氏は、この世をはかないものに感じるようにもなっていく。

以上の二点が、今回、小学館版で『源氏物語』を読んできて思うことなどである。

『源氏物語』の成立論について、思うことが無いではない。読んだ印象としては、やはり「玉鬘」の話しは、後から書き足して挿入されたとおぼしい。だが、それは、「紫」系の物語を執筆するのと、時をおかずして、集中的になされたものであろう。

次は、いよいよ「若菜」(上・下)になる。『源氏物語』で最も中核的な部分である。続けて読むことにしよう。

2020年6月25日記

追記 2020-07-21
この続きは、
やまもも書斎記 2020年7月21日
『源氏物語』(9)若菜 上
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/07/21/9270198