『麒麟がくる』総集編(2)動乱2020-08-18

2020-08-18 當山日出夫(とうやまひでお)

放送再開までの総集編、その二回目である。

この回で描かれていたのは、美濃、尾張、今川といったあたりの地域の様相。戦国の動乱の時代である。その後のゆくえがどうなるかわからない……が、今のわれわれは、その最終の結果を知ってはいるのだが……そのゆくえのわからないなかにあって、斎藤道三が、織田信長が、どう動くことになるのか。

だが、この回を見て思ったことであるが、「総集編」ということで再編集しての放送なのであろう、帰蝶のことが興味深かった。裏で暗躍するというといいすぎかもしれないが、尾張や美濃の行く末に、大きくかかわる存在として、帰蝶があった。

また、織田信長と斎藤道三の会見シーンには、時間がつかってあった。やはり、このシーンは、戦国ドラマで、一つの見せ場となるところである。ここで、二人のやりとりのなかでは、「天下」ということばは出てきていなかったが、歴史の結果としては、いずれ「天下」をめぐって、活躍することになる。(ただ、斎藤道三は、その前に死んでしまうのだが、それは次週のことになるようだ。)

ところで、なぜ、大河ドラマでは、戦国時代とか幕末明治維新のころが、舞台となるのだろうか。(他には、忠臣蔵もよく出てくるが。)それは、やはり、「天下」とか「国家」とかをめぐる人びとの意識と行動に、興味をひくところがあるせいだろう。

『麒麟がくる』では、今までのところ(放送中断まで)、「天下」ということばは使っていない。これは、意図的に脚本が避けているのだろうと思う。そのかわりにつかわれているのが「麒麟」である。「麒麟」のくる世の中をつくることが、「天下」の統一と平安ということなのだろう。いずれ、最終的には、家康の手によって、「天下」は統一される。だが、それが本当に「麒麟」がくるということになるのだろうか。その問いかけが、このドラマのなかにはあるような気がしている。

次週、斎藤道三の死と、桶狭間の合戦ということになるはずである。楽しみに見ることにしよう。

2020年8月17日記