『麒麟がくる』総集編(3)誇り高く2020-08-25

2020-08-25 當山日出夫(とうやまひでお)

総集編の三回目である。長良川の合戦における道三の死から、桶狭間の合戦における信長の勝利までを描いていた。

はっきりいって、総集編という形で再編集して面白くなる場合もあれば、そうでない場合もある。前回、第二回目は、面白く編集してあったと感じた。しかし、三回目になると、ちょっと全体の流れが散漫な感じがしてしまった。

無論、見せ場はいくつもる。いや、いくつもの見せ場があるが故に、どこにポイントをおいているのかが、ぼやけてしまったというべきなのかもしれない。

また、総集編という形で見ると、フィクションとしての登場人物……駒とか菊丸とか……このあたりの登場人物のことが、いまひとつ印象に残らない。これまでの、普通の放送のときは、それなりに興味深い登場人物として出てきていたのだが、総集編になると、影がかすんでしまう。これは、やはり歴史ドラマという枠組みで描くことによるのだろう。そこにいかに現代の目から見た演出が加わっているとしても、史実としてあったことの前には、フィクションははなかく見えることになる。

それから、この総集編の第三回では、「麒麟」ということばが出てきていなかった。そのかわりに出てきていたのが、「おおきな国」という言い方。いずれ、信長から秀吉、さらには、家康によって、「おおきな国」が作られることになるのだろうが、はたして、その世の中は、「麒麟」のくる時代といっていいのだろうか。このあたりが、このドラマの問いかけといっていいのかもしれない。

ともあれ、次回から、本放送が再開である。楽しみに見ることにしよう。

2020年8月24日記