『ネヴァー・ゲーム』ジェフリー・ディーヴァー2020-10-03

2020-10-03 當山日出夫(とうやまひでお)

ネヴァー・ゲーム

ジェフリー・ディーヴァー.池田真紀子(訳).『ネヴァー・ゲーム』.文藝春秋.2020
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163912691

毎年、秋になると、ジェフリー・ディーヴァーの新作の翻訳が文春から出る。これは、ずっと買って読むことにしてきている。さかのぼれば『ボーン・コレクター』あたりから、続けていることになる。

これは、新しいシリーズである。主人公は、コルター・ショウ。懸賞金ハンターである。これまでの、リンカーン・ライムやキャサリン・ダンスが、警察の側、いわば組織の側に身をおく立場であったのに対して、新しい主人公は、そのような公的な後ろ盾をもたない。いわゆる一匹狼的な生き方である。

読んで思うことは、次の二つぐらいだろうか。

第一に、ミステリとして見た場合、トリックの大筋は、古典的なミステリの名作でつかわれているもののアレンジになっている。ミステリを読んできた人間なら、あああの作品のトリックの変形バージョンか、とすぐ気付く。

この意味では、あまりミステリとしての目新しさを感じることがない。しかし、一つの作品としての完成度は高いと言っていいだろう。

第二に、舞台はシリコンヴァレーである。特に、ゲームの世界の裏と表、なかんずく闇の部分とでもいうところを描いている。これは、まさに時事的なテーマである。(だからということもないが、ジェフリー・ディーヴァーの作品は、その時代を映すものになっている。文庫本になるのを待たずに買って読むことにしているのは、そのせいもある。)

以上の二つのことが読んで思うことなどである。

訳者あとがきによれば、このシリーズは、次作でも続くらしい。また、リンカーン・ライムの新作もあるようだ。となれば、COVID-19でロックダウンしたニューヨークが舞台になるのかと思う。来年もつづけて読むことができればと思う。

2020年10月2日記