『エール』あれこれ「戦場の歌」2020-10-18

2020-10-18 當山日出夫(とうやまひでお)

『エール』第18週「戦場の歌」
https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_18.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年10月11日
『エール』あれこれ「歌の力」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/10/11/9304566

これまで朝ドラでは、多くの戦争を描いてきている。しかし、そのなかにあって、『エール』におけるほど、戦場、戦闘ということを描いた作品はなかったろう。この意味において、『エール』は特筆すべき作品になっていると思う。

思うことなど書けば、次の二点ぐらいだろうか。

第一には、戦争。

裕一はビルマに慰問に行く。そこで、藤堂先生がいることを知る。会いにいくことになるが、そこで、敵の攻撃をうける。藤堂先生は戦死することになる。このあたりの描き方は、これまでの朝ドラにはない、シリアスなものであった。

そもそも、これまで朝ドラで戦争を描くといっても、女性を主人公とすることの多い朝ドラでは、国内の銃後のことがおもであったかと思う。今回は、裕一という主人公の設定により、ビルマにおけるインパール作戦を描くことになった。

ドラマの作り方としては、正攻法というべきであろう。そして、それは成功したと私は考える。

第二には、裕一の思い。

自分がこれまで作曲家としてやってきた仕事の意味を裕一は問いかけることになる。軍歌の作曲ということで、戦意高揚につとめてきた。それが、戦場の実際を目の当たりにすることによって、また、音楽教室に通ってきていた弘哉の死によって、その意味を深く考え直すことになる。

だが、これは、裕一の責任ということではないであろう。むしろ、時代とともに生きてきて、その時代のもとめる音楽を作ってきた裕一であることの証左と考えるべきかと思う。戦争中に多くの軍歌を手がけることになった裕一だからこそ、戦後のその後の作品もありえたのだろう。

以上の二点が、この週を見ていて思ったことなどである。

それから、さらに書いてみるならば、豊橋の梅たちも空襲にあう。かろうじて助かったようだが、これからどうなるのであろうか。家も焼け、馬具製作ということももうないのだろうと思う。梅は、作家としてやっていくことになるのだろうか。

空襲の焼け跡で歌う、光(薬師丸ひろ子)の賛美歌がよかった。

また、さらに書いておくならば、敗戦の玉音放送のシーン。最後に「国体を護持し」というところまで使っていた。この戦争は、いったい何のための戦争であったか、問いかけることになっていたと感じる。

次週は、「鐘の鳴る丘」になるようだ。戦後の、裕一の活躍を、楽しみに見ることにしよう。

2020年10月17日記

追記 2020-10-25
この続きは、
やまもも書斎記 2020年10月25日
『エール』あれこれ「鐘よ響け」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/10/25/9309376