『エール』あれこれ「鐘よ響け」2020-10-25

2020-10-25 當山日出夫(とうやまひでお)

『エール』第19週「鐘よ響け」
https://www.nhk.or.jp/yell/story/week_19.html

前回は、
やまもも書斎記 2020年10月18日
『エール』あれこれ「戦場の歌」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/10/18/9306890

学生のころ、たしか神保町を歩いていたとき、ふと目にして古書店で買った本がある。『この子を残して』。永井隆である。かなり安くで買ったと覚えている。私が、永井隆の名前を覚えたのは、いつのころのことだったろうか。高校生のときだったか、あるいは、大学生になってからか。永井隆という人のことと、「長崎の鐘」は、いつのころからから記憶の中に存在するようになっている。

この週で描いていたのは、「鐘の鳴る丘」と「長崎の鐘」。そして、裕一の戦後の復活の物語でもあった。

戦争に協力したことになるのではないかと裕一はスランプにおちいる。音楽に手がつけられない。そんな裕一に、「鐘の鳴る丘」の依頼がくる。裕一は、なんとかその曲を書き上げることができた。

「長崎の鐘」の作曲にあたって、裕一は長崎におもむく。そこで病床にある医師(永田)と話しをする。贖罪の意識をもっているうちは、曲が書けないことに気づくことになる。未来への希望を歌に託して、裕一は「長崎の鐘」を書くことができた。

この週、あるいは、編集の都合で、二つの話しを一つの週にまとめてしまったような気がしてならない。たしか、放送回数が短縮されたはずなので、その影響だろうかと思ってしまうところがある。「鐘の鳴る丘」については、戦災孤児の問題をもっととりあげてもよかったろうし、「長崎の鐘」についても、長崎における原爆のことを描くこともできたかと思う。

が、ともあれ、「鐘の鳴る丘」「長崎の鐘」ということで、裕一は、戦後の活動に復帰することになった。その経緯をうまく描いていたかと思う。

それから、見ていて思ったことであるが、戦後の闇市や街頭のシーン。これまでの朝ドラでは、かならずといっていいほど、米兵相手にしている女性たちが登場してきていた。それが、今回の『エール』では出てきていない。編集の都合でカットすることになったのか、あるいは、もうそのような女性たちのことを描かない方針になったのか。いずれにせよ、結果として、その種の女性が登場しない戦後のシーンの描写ということで、これはこれとして、印象に残るものであった。

次週、「栄冠は君に輝く」となる。久志も再び登場するようだ。楽しみに見ることにしよう。

2020年10月24日記

追記 2020-11-01
この続きは、
やまもも書斎記 2020年11月1日
『エール』あれこれ「栄冠は君に輝く」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/11/01/9311821