『惜別』太宰治/新潮文庫2020-11-16

2020-11-16 當山日出夫(とうやまひでお)


太宰治.『惜別』(新潮文庫).新潮社.1973(2004.改版)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100610/

続きである。
やまもも書斎記 2020年11月14日
『右大臣実朝』太宰治/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/11/14/9316325

この作品には、太宰らしさというべきところがあまりないといっていいだろう。しかし、読み始めていっきに読んでしまった。

登場するの、周さんという中国(清)から留学生。ちょうど日露戦争のころの、仙台が舞台である。仙台医専での、周さんとの交流が描かれる。周さんは、後の魯迅である。

戦争中に書かれた作品である。出版は、都合で戦争が終了してからということになったようだが。そのときに、時局に配慮して書いたのだろうということは、かなり割り引いて読む必要がある。そして、そのところをかなり割り引いて読んだとしても、ふとこの作品に読みふけってしまうことになる。

これは、やはり太宰治ならではの文章のたくみさ、語りのうまさというべきものなのであろう。小説を読む楽しみというものを、十分に知りつくした作品にしあがっている。

ところで、魯迅の作品は、若いときに一通り代表的な作品を読んだことは覚えている。が、近年は手にすることがない。魯迅の作品など、また読みかえしてみたくなった。

2020年11月8日記

追記 2020-11-19
この続きは、
やまもも書斎記 2020年11月19日
『お伽草紙』太宰治/新潮文庫
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/11/19/9318056

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/11/16/9317040/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。