『向田邦子と昭和の東京』川本三郎2020-12-24

2020-12-24 當山日出夫(とうやまひでお)

向田邦子と昭和の東京

川本三郎.『向田邦子と昭和の東京』(新潮新書).新潮社.2008
https://www.shinchosha.co.jp/book/610259/

川本三郎の『『細雪』とその時代』を読んで、この本が出ていることを知った。新潮新書であるので、手軽に読めると思って読んでみることにした。

向田邦子については、今年、『向田邦子ベスト・エッセイ』を読んでいる。

やまもも書斎記 2020年4月10日
『向田邦子ベスト・エッセイ』向田和子(編)
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2020/04/10/9233722

川本三郎の本は、一つには向田邦子論である。その作品……エッセイのみならずテレビの脚本にいたるまでの……の特質を分析している。そこに見いだせるものは、昭和という時代である。昭和戦前の時期からはじまって、昭和三〇年代ごろまで。そのころまでの人びとの暮らしと情感を、その作品に読みとっている。

そして、ある意味では、確信犯的に、ノスタルジーの評論にもなっている。昭和という時代のおわりにむかえた、バブルの時代とその崩壊。そこで、人びとの生活のなかから失われてしまったものに、思いをはせている。

私は、昭和三〇年の生まれである。川本三郎よりも、いくぶん若い。向田邦子がエッセイストとして登場してきたときは、学生のころだった。その多くの作品は読んだと覚えている。しかし、学生のころ、テレビを持たない生活をしていたせいもあって、その脚本になるドラマについては、見ていないものがある。ただ、そうはいっても、自分自身もまた、向田邦子の文章に描かれている昭和という時代に生きてきた人間のひとりである……このような思いを、この本を読むと強く感じる。

この本を読んだら、向田邦子の作品を読み返してみたくなった。この冬休み向田邦子を読むことにしようかと思っている。

2020年12月23日記

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