『霊長類ヒト科動物図鑑』向田邦子2021-01-07

2021-01-07 當山日出夫(とうやまひでお)

霊長類ヒト科動物図鑑

向田邦子.『霊長類ヒト科動物図鑑』(文春文庫).文藝春秋.2014(文藝春秋.1981 文春文庫.1984年)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167901417

続きである。
やまもも書斎記 2021年1月4日
『無名仮名人名簿』向田邦子
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/01/04/9334082

この本もたしか読んでいると思う。向田邦子のエッセイを適当に見つくろって読んでいる。

向田邦子のエッセイの面白さは、いろいろと分析することができよう。ここでは、二つのことを考えてみたい。

第一には、向田邦子は、自立する女性の先がけであったことである。父親のもとを飛びだして、ひとりで生活する。放送作家、脚本家をなりわいとして、自分一人で生きてきている。まさに、自立した女性という側面をもっている。

第二は、その一方で、昭和戦前からの古風な生活感覚の持ち主でもある。特にその家庭は、昭和戦前のサラリーマン家庭であり、家族のあり方は、まことにふるめかしい。そして、その生活感覚を、かなりとしをとってからも保ち続けている。それは、エッセイのなかにふと見られる、ちょっと古風なことばづかいなどに反映されている。

この相反するような二つの側面を、向田邦子は持っている。だから、今になって読みかえしてみても、古びた印象がしない。

ただ、そうはいいながら、やはり文章の書かれたその時代の刻印というものがある。このような箇所は、今の私のような読者にとっては、むしろ懐かしいような感覚で読むことになる。

この本を読んでも飛行機のことが出てくる。読みながら、飛行機のことを話題にした話しになると、ふとページを繰る手がとまってしまう。

2020年12月29日記

追記 2021-01-08
この続きは、
やまもも書斎記 2021年1月8日
『隣りの女』向田邦子
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/01/08/9335501

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