『女の人差し指』向田邦子2021-01-15

2021-01-15 當山日出夫(とうやまひでお)

女の人差し指

向田邦子.『女の人差し指』(文春文庫).文藝春秋.2011(文藝春秋.1982 文春文庫.1985)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167277239

続きである。
やまもも書斎記 2021年1月14日
『あ・うん』向田邦子
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/01/14/9337395

向田邦子は、だいたい若いときに読んだかと思うのだが、このエッセイ集は、どうだったろうか。確かに読んだという記憶がない。

このエッセイ集は、いろんな雑誌などに書いたものを、テーマごとに部類分けして編集してある。

女の人差し指
テレビドラマ
食べ物


向田邦子のエッセイのエッセンスがつまったような編集になっている。

読んで興味深かったのは(どの文章もいいのだが)、テレビドラマについての文章かと思う。面白い指摘は、昔のテレビドラマは、ゆっくりしゃべっていた。原稿用紙の枚数も少なかった。それが、今(向田邦子の書いている今の時点)では、より多くの原稿用紙の枚数になっている。

このような指摘の箇所は、国語学、日本語学の観点から見ても、いろいろと考えるところでもある。

それから、向田邦子はこのようなことも書いている……テレビドラマは残らない。消えて無くなっていくものである。向田邦子の時代のテレビの作品は、確かに今では残っていない。これはこれでいいことなのかもしれない。そのようなものとしてのテレビドラマであり、そのようなものとして脚本を書いていた。

それが、エッセイ、小説になると、後の時代まで残る。現に、向田邦子のこの本でも、文庫版の「新装版」という形で、今でも刊行されている。

脚本家としての向田邦子の作品(ドラマ)は残っていない。私ぐらいの世代であれば、まだかろうじてそれを覚えている。さて、はたして向田邦子は、今の時代、テレビの制作がデジタル化され、そのドラマでも基本的には残すことが可能になっている時代、このような時代をどう思うだろうか。

たぶん、小説家、エッセイストとしての向田邦子は、これからも読まれ続けていくことだろうと思う。

2021年1月3日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/01/15/9337718/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。