プロジェクトX「東京タワー・恋人たちの戦い」2021-04-17

2021-04-17 當山日出夫(とうやまひでお)

NHK プロジェクトX 東京タワー・恋人たちの戦い

続きである。
やまもも書斎記 2021年4月10日
プロジェクトX「友の死を越えて」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/04/10/9365712

私が東京に住んでいたとき、目黒に住まいがあって、三田にかよっていたので、東京タワーは、ほとんど毎日のように目にしていたことになる。しかし、今にいたるまで、そこに行ったことも、上ったこともない。

東京タワーに上ってみようかなという気がしないではないのだが、それ以前に、もはや何かの用事で東京に行くということがなくなってしまった。前までは、秋の学会……東京大学である訓点語学会……のために、少なくとも年に一回は東京に行っていたのだが、それもなくなってしまった。COVID-19のためである。今、学会は、開催されるとするならば、オンライン開催になってしまっている。

番組を見て印象にのこることを、二点ぐらい書いてみる。

第一に、仕事に対する誇りと自信。

東京タワーを建設するには、その企画から設計、施工にいたるまで多くの人びとの努力があってのことである。その仕事の最前線で働いていた、鳶職人をささえていたのは、いい仕事をしたいという職人としての矜恃である。

今、二一世紀になって、令和の時代になって、自分の仕事に誇りを持てる人間がどれくらいいるだろうか。仕事は仕事、自分の生活はまた別、このような割り切りが主流かもしれない。このような時代にあって、自分に与えられた仕事が好きで、それを成し遂げることに情熱をかたむけられる、これは非常に幸福なことなのだろうと思えてならない。

第二、男の物語として作ってあるということ。

今の時代では、このような番組は作れないとも思うところがある。仕事一途な夫と、それに従う妻というような、図式は今の時代にそぐわない。

番組は、二〇〇〇年の放送である。今からざっと二〇年ほど前のことになる。その間に、大きく社会の価値観……仕事に対する観念、また、男女の役割という考え方など……大きく変化した。

今の価値観からすると、もはやこのような番組自身が作れないともいえよう。とはいえ、それでも、今の私の目で見て、仕事に打ち込む人間の姿というものには、一種の普遍性があるようにも感じる。

東京タワーを作った人びとの物語は、語り継がれていいものだと思う。

以上の二点が、再放送を見て思うことなどである。

時代が変わっても、いい仕事ができることは幸福なことである、この思いを強くした次第である。

2021年4月15日記

追記 2021-04-24
この続きは、
やまもも書斎記 2021年4月24日
プロジェクトX「執念が生んだ新幹線」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/04/24/9370256