『ペスト』カミュ/三野博司(訳)2021-06-10

2021-06-10 當山日出夫(とうやまひでお)

ペスト

カミュ.三野博司(訳).『ペスト』(岩波文庫).岩波書店.2021
https://www.iwanami.co.jp/book/b570590.html

この時期にこの新しい訳が出たのは、たまたまそうなったということらしい。だが、出版社としては、まさに時宜にかなった出版になったことは確かなことである。

これまで、『ペスト』というと新潮文庫版があった。これも、持っている。(確か、読んだような気もするが、忘れてしまっている。)

新しい訳が岩波文庫で出るということなので、出てさっそく買った。すぐに読んだのだが、机の上においたままになっていた本である。

思うことはいろいろとあるが……一言でいうならば、現代、この小説を、単に寓意の小説とはもはや読めない、ということにつきるのかもしれない。これが、二年前であったなら……COVID-19のパンデミックということの前なら……きわめて寓意にみちた、謎めいた小説として読まれたであろう。

しかし、もはや、この小説は寓意の小説として読むことはできないようになってしまった。どうしても、実際の世界の様子を思い浮かべてしまうことになる。

小説の世界の中では、ペストはやがては消滅するものとして描かれている。COVID-19もそうあってほしいと思う。もし、この小説から、今、読みとるべきものがあるとするならば、それは未来への希望ということになるのではないだろうか。

もし、その機会があるのならと思うのだが、今の世の中がおちついてから、この作品は、再度読みかえしてみたいと強く思う。

2021年5月27日記

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