『青天を衝け』あれこれ「勘定組頭 渋沢篤太夫」2021-06-22

2021-06-22 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第19回「勘定組頭 渋沢篤太夫」
https://www.nhk.or.jp/seiten/story/19/

前回は、
やまもも書斎記 2021年6月15日
『青天を衝け』あれこれ「一橋の懐」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/06/15/9388064

そろそろ「論語と算盤」ということで話しが展開していくようだ。

この回で印象に残っているのは、次の二点。

第一に、渋沢栄一の経済観。

一橋家の財政立て直しのために奮闘する栄一であるが、その価値観の根底には、経済とはなんのためのものなのか、という問いかけがある。木綿の販売に乗り出すことになる。では、その利益は誰のために、何のためにか、と問いかける。

一つは、生産者のためにである。そして、それを販売するもののためである。(さらに、それを購入するもののためということもあるのかもしれないが、この段階ではそこまで出てきてはいない。)

そして、もっとも大切なものは、信用であるという。信用こそが、経済活動を活発化させる基盤になくてはならない。

後年、「論語と算盤」ということで知られることになる、経済道徳合一主義の発想が、一橋家家臣の渋沢栄一のなかにあったことになる。

第二に、徳川幕府。

どうもこのドラマ、徳川幕府をあまりにも開明的に描きすぎているのではという気もしないではない。開国し、外国と交易し、朝廷を尊重するとはいっても実質的に日本の支配者でありつづけようとしている。

だが、その徳川幕府の最後の将軍になるのが、慶喜である。さて、これから、大政奉還に向かって、どう描いていくことになるのだろうか。

以上の二点が、この回を見て思ったところなどである。

これまでの登場人物のなかで、主だって出てきていない人物がちょっと気になる。坂本竜馬が出てきていない。それから、勝海舟も出てはいないと思う。

これから、江戸幕府の最後、それから、パリ万博をどう描くことになるのか、このあたりが楽しみというところだろうか。

それから、ちょっと気になったことは、京都の公家のことば。アクセントは、京都アクセントなのだが、そのことばは、京ことばであった。

どうでもいいようなことだが……幕府にしても、朝廷にしても、どうもセットがショボい。そんなに予算がないことはないと思うのだが……たぶん、これは、これからのパリ万博、それから、明治以降の撮影のために予算がとってあると勘ぐってみるのだが、どうだろうか。

次回、いよいよ慶喜が将軍になるようだ。最後の将軍をどう描くことになるのか、楽しみに見ることにしよう。

2021年6月21日記

追記 2021年6月29日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年6月29日
『青天を衝け』あれこれ「篤太夫、青天の霹靂」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/06/29/9392680

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