プロジェクトX「翼はよみがえった(前編)」2021-08-05

2021-08-05 當山日出夫(とうやまひでお)

プロジェクトX 「翼はよみがえった 前編 YS-11開発」

続きである。
やまもも書斎記 2021年7月29日
プロジェクトX「われら茨の道を行く」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/07/29/9402708

さすがにこの企画については、一回では放送しきれないということだったのだろう、前編、後編の放送である。前編を見て思うことをいささか。

YS-11の開発された当時のことは、おぼろげに覚えている。国産の旅客機ということで、マスコミなどでも大きく取り上げられたできごとであった。

このプロジェクトについては、(前編を見たところで)思うことを二つばかり書いてみる。

第一には、戦前からの飛行機技術の継承。

ゼロから設計したということではない。そこには、戦前、戦中の、飛行機……戦闘機ということになるが……飛燕であり零戦である……の設計、開発にたずさわった人たちの力があった。中には、堀越二郎……『風立ちぬ」を思い出してしまう……も、加わっていた。

日本の近代史をふりかえるとき、昭和二〇年の敗戦ですべてゼロになったわけではない。そこには、戦前、戦中からの積み重ねの延長に、日本の復興があったことになる。

第二には、政治とのかかわり。

飛行機の開発となるとどうしても技術のことに目がむきがちかもしれないが、それ以上に重要なのが政治とのかかわりである。戦後、進駐軍のいた時代には飛行機を独自に作ることはできなかった。

また、それが可能になってからでも、巨額の投資を必要とする飛行機開発に、そう簡単に政治が動くわけでもない。そこには、政治を動かすための、また別の努力と工夫が必要である。

以上の二点のことを思ってみる。

しかし、今の日本で、YS-11の後継機となる、国産旅客機の開発は、途中でとまったままである。COVID-19による航空需要のおちこみ、さらには、世界的な潮流である脱炭素がある。はたして、国産の旅客機の開発の、さらなる夢はかなうのであろうか。あるいは、すでにもうこれは単なる夢にすぎないのかもしれない。

次回は、東條輝雄を軸とした物語になるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2021年8月4日記

追記 2021年8月13日
この続きは、
やまもも書斎記 2021年8月13日
プロジェクトX「翼はよみがえった(後編)」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2021/08/13/9409193