映像の世紀プレミアム(11)「運命の3つの都 パリ・ベルリン・ニューヨーク」2021-10-22

2021-10-22 當山日出夫(とうやまひでお)

映像の世紀プレミアム (11) 運命の3つの都 パリ・ベルリン・ニューヨーク

再放送である。2018年の放送。これは見逃していた。録画しておいて、学校に行く用事が済んでから、ゆっくりと見ることにした。

なぜこの三つの都市なのか、という疑問はある。なぜロンドンでないのか、なぜ東京でないのか(まあ、東京については、その後の放送で特集したのではあるが。)

しかし、この三つの都市……パリ・ベルリン・ニューヨーク……を舞台にして、二〇世紀の時代の流れを追った、いい企画であったと思う。

見ていて印象に残るのは、ベルリンの壁の崩壊のこと。

個人的な記憶をたどれば、一九八九年のある日、テレビを見ていたらいつの間にか、そうまったくいつの間にかである……ベルリンの壁の崩壊ということになっていた。壁の上で、ハンマーをふるって壁を壊す人物の映像は、これまで何度となく目にしてきているが、これをたしかにテレビのニュースで見たかと記憶している。

はっきりいえば、この事件が、その後の世界の状況を大きく変える出来事になるとは、思っていなかった。ただ、漫然とニュースを見ていたということになる。

ただ、強いて批判的な目で見てみるならばであるが……「映像の世紀」という番組自身が、どうしても、西欧中心の歴史観になっているところがある。これは、残された映像資料ということから、そうならざるをえないということはあるのかとも思う。このあたりのことは、ちょっと距離を置いて考えて見る必要があるかと思う。パリや、ベルリンや、ニューヨークで起こった出来事が、世界の人びとにどのような意味があったのか、振り返ってみなければならないだろう。

放送は、二〇一八年。アメリカではトランプ大統領の時代である。この時代、ある意味では、アメリカのみならず世界的にも、分断と対立の時代であったといえるかもしれない。それは、今も続くことでもあろう。

これに対比する形で、ドイツのメルケルを登場させていたのは、そう編集したということなのだろうが、巧みであると感じる。(ただ、少し理想的に描きすぎている気がしなくもないが。)

ちょっと不満に思ったこととしては、第二次世界大戦当時のフランス。確かにレジスタンスの動きがあったろう。と同時に、ヴィシー政権というものもあった。ナチスに迎合したフランスの歴史ということも、忘れてはならないことにちがいない。

さて、この再放送、いつまでつづくのだろうか。BS4Kでも放送しているので(我が家ではこれは見ることができないのだが)、4Kバージョンとして続くのかとも思っている。とりあえずは、次回は日本のことに話題が移って、昭和史となるようだ。これも見ることにしよう。

2021年10月21日記