『黒牢城』米澤穂信 ― 2021-12-16
2021-12-16 當山日出夫(とうやまひでお)

米澤穂信.『黒牢城』.KADOKAWA.2021
https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000890/
今年のミステリ(国内)のベストである。これは未読の本であったので、読んでおくことにした。
なるほど、この作品が、ベストになるだけのことはある。米澤穂信については、『折れた竜骨』『満願』『王とサーカス』など、読んできている。どれもきわめて完成度の高いミステリである。
設定は、荒木村重と黒田官兵衛、戦国の有岡城である。四つの連作短篇という形式をとっているが、そこは米澤穂信のことである、さらに仕掛けがある。歴史の結果として、村重は滅び、官兵衛は生き残るということはわかっているのだが、そのようなことを知った上で読んだとしても、この小説の舞台設定は魅力的である。そして、この舞台設定ならではの、魅力的な謎と謎解きになっている。
また、時代小説として読んでも面白い。戦国武将の生き方、何をめざし、何のために戦っているのか、その根本にかかわる心理の掘り下げが、米澤穂信ならではの、流麗な文章でつづられる。
この小説を読んで、NHKの大河ドラマで放送した『軍師官兵衛』とか『麒麟がくる』とか、おもわず思い出しながら読んでしまった。(このような読者は多いのではなかろうか。)
ともあれ、この作品が、今年のミステリのベストに選ばれたのは、十分に納得できる。
2021年12月14日記
https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000890/
今年のミステリ(国内)のベストである。これは未読の本であったので、読んでおくことにした。
なるほど、この作品が、ベストになるだけのことはある。米澤穂信については、『折れた竜骨』『満願』『王とサーカス』など、読んできている。どれもきわめて完成度の高いミステリである。
設定は、荒木村重と黒田官兵衛、戦国の有岡城である。四つの連作短篇という形式をとっているが、そこは米澤穂信のことである、さらに仕掛けがある。歴史の結果として、村重は滅び、官兵衛は生き残るということはわかっているのだが、そのようなことを知った上で読んだとしても、この小説の舞台設定は魅力的である。そして、この舞台設定ならではの、魅力的な謎と謎解きになっている。
また、時代小説として読んでも面白い。戦国武将の生き方、何をめざし、何のために戦っているのか、その根本にかかわる心理の掘り下げが、米澤穂信ならではの、流麗な文章でつづられる。
この小説を読んで、NHKの大河ドラマで放送した『軍師官兵衛』とか『麒麟がくる』とか、おもわず思い出しながら読んでしまった。(このような読者は多いのではなかろうか。)
ともあれ、この作品が、今年のミステリのベストに選ばれたのは、十分に納得できる。
2021年12月14日記
最近のコメント