『鎌倉殿の13人』あれこれ「諦めの悪い男」2022-08-16

2022年8月16日 當山日出夫

『鎌倉殿の13人』第31回「諦めの悪い男」
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/31.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月9日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「全成の確率」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/09/9516214

この回は、比企のことであった。

歴史の結果として、北条氏との抗争に比企氏が敗れることになるのは分かっていることであるが、それを歴史ドラマとしてどう描くかは、脚本の巧さというものである。

注目しておきたいのは、次の二点。

第一には、頼家の病気。

病に倒れた頼家であったが、登場していたのは、始めと終わり。もうこれで助からないのかと思わせる展開のなかで、次の鎌倉殿をどうするか、思惑が交錯する。

第二には、次の鎌倉殿。

このあたりは、史実をふまえてのことだろうと思うが、北条と比企の抗争の背景にあるのは、頼家の次の鎌倉殿を誰にするか。これで、実質的な鎌倉幕府の権力者が決まることになる。(歴史の結果としては、北条氏が握ることになるのだが。9

以上の二つの要素をたくみにからめて、比企一族の粛正ということが描かれた回であった。

そして、うまいと思わせるのが、この次の事件となるはずの、実朝暗殺事件の伏線をたくみに描いていたことかもしれない。

また、比企能員が実によかった。こいつなら殺されてもいいだろう、しかし、どこか愛嬌のあるような、また、同時にふてぶてしい様子が見事であった。

それにしても、義時はいつのまにか権力者の顔になっている。鎌倉において北条氏の権力を確立することが、義時にとっての生きる道である。この権力者の義時は、頼家から実朝の時代をどう生きることになるのだろうか。次回以降を楽しみに見ることにしよう。

2022年8月15日記

追記 2022年8月23日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年8月23日
『鎌倉殿13人』あれこれ「災いの種」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/23/9519963