『舞いあがれ!』あれこれ「パイロットになりたい!」2022-11-19

2022年11月19日 當山日出夫

『舞いあがれ!』第7週「パイロットになりたい!」
https://www.nhk.or.jp/maiagare/movie/week07/

明日からちょっと留守にする。東京に行ってくる。早稲田大学での日本漢字学会である。朝早く出るため、朝の放送を見てから書くということができないので、金曜日まで見たところで、思ったことなど書いておくことにする。土曜日の放送は、一週間のまとめなので、これでもいいかと思う。

この週で、大阪編、五島編は、いったん終了ということのようだ。

第一に、舞のパイロットへの希望。

舞はパイロットになりたいという希望を両親につげるが、許してもらえない。五島に行くことになる。かつての母(めぐみ)と祖母(祥子)との関係、また、それをなぞるかたちでの、舞と母(めぐみ)との関係、これが多層的に描かれていて、印象深いものであった。結婚して町工場の仕事をすることになった母(めぐみ)は大学を中退している。その母(めぐみ)にとっては、舞はどうしても大学を卒業させてやりたいと強く思うのであろう。

第二に、貴司と久留美のこと。

幼なじみの二人も、それぞれに人生の岐路を迎えることになる。貴司は、仕事をやめて放浪の旅に出る。そこで自分が本当にやりたいものを見つけることになる。また、久留美は、家を出ていった母と再会する。舞、久留美、貴司とそれぞれに境遇の異なる三人だが、どうにかこれからの生きる道を見つけたようだ。

以上のようなことを軸にして、様々に細やかな人間の情感が描かれていたと思う。

ところで、貴司が、初任給で買ったのは、金子光晴の自伝三部作だった。『どくろ杯』『ねむれ巴里』『西ひがし』である。この脚本では、金子光晴について、一言も説明的なことを語っていない。金子光晴であることを認識する人は、より一層深くドラマの世界を感じることができるだろうし、そうでなくても、貴司の文学への気持ちは十分に伝わるようになっている。丁寧に説明するだけがドラマの作り方ではない。

次週以降、舞台は航空学校になるらしい。新しい展開を楽しみに見ることにしよう。

2022年11月18日記