『江戸川乱歩名作選』江戸川乱歩/新潮文庫2023-03-04

2023年3月4日 當山日出夫

江戸川乱歩名作選

江戸川乱歩.『江戸川乱歩名作選』(新潮文庫).新潮社.2016
https://www.shinchosha.co.jp/book/114902/

同じ新潮文庫の「傑作選」に続けて読んだ。こちらの方は新しい編集である。

収録するのは、

石榴
押絵と旅する男
目羅博士
人でなしの恋
白昼夢
踊る一寸法師
陰獣

今、江戸川乱歩を読もうと思うと、いろんな文庫、あるいは、「全集」で読めるようだ。たまたま、読み慣れている新潮文庫版で読んで見たということになる。角川文庫版だと、かなり収録作品が増えるようだ。だが、新潮文庫の「傑作選」「名作選」で、代表的な作品は取り上げてある。

どれも読んだことがある作品(だと思う)。はっきりと記憶している作品もあれば、記憶の曖昧な作品もあるのだが。が、ともあれ、再読することになっても(その結末を知っていても)どれも傑作ぞろいである。

NHKの「探偵ロマンス」を見たので、江戸川乱歩を読んでみたくなって読んでみたのであるが、なるほど、今にいたるまで江戸川乱歩が読み継がれてきている、そして、今でも「乱歩賞」が行われているのは、納得できる。

昭和の初めごろまでに発表された作品である。乱歩といえば思い出す、少年探偵団、怪人二十面相は、はいっていない。さて、これらまで読んだものかどうか、迷っているところでもある。

乱歩は「探偵小説」と言っているが、今のことばでいえば、これはかなり広義のミステリと理解していいだろうか。無論、なかには、厳格な意味での「本格」もふくむことになるが。ミステリとして読んで、「石榴」「陰獣」などは非常に完成度が高い。これほどの作品がかつて書かれていたのかと、改めて感心した次第でもある。

さて、この続きどうしようか。横溝正史の主な作品を読んでみようかという気になってきている。高校生から大学生ぐらいのときに読んでいるのだが、改めて横溝正史も読みかえしてみたい。

2023年2月22日記