「テレビはどう伝えた?! 激動の世界」2023-04-01

2023年4月1日 當山日出夫

テレビはどう伝えた?! 激動の世界

テレビ七〇年ということで、いくつかの特別番組があるがこれもその一つ。正直あまり期待はしていなかったのだが、見てみるとかなり面白かった。

あつかっていた世界の事件は三つ。ベルリンの壁の崩壊、湾岸戦争、天安門事件。それぞれに、その当時のNHKの記者として現地から報道にたずさわった人が出て、その時のことを回想していた。そのどれもが、反省すべき点があると語っていた。

報道の姿勢、どの立場からものを見るか、それから、映像の史料批判、このようなことについて、今の時点からの考えということにはなるが、率直な意見を語っていたのが印象に残る。

これらの事件については、私も記憶にある。すべて報道で知ったことである。テレビの画面を見ていたのを記憶している。

戦争と報道ということについては、湾岸戦争の当時の、ピーター・アーネットのことを覚えている。戦争をその現場(イラク)から実況中継した人物である。その行為の是非をめぐって、その当時は賛否両論があったと思う。これも、今になって考えてみるならば、戦場からのリアルタイムの戦争報道ということの意味が、より重要性を増していると言っていいだろう。ただ、そうは言ってもただ報道すればいいというものではなく、事後の検証や解説ということは必要になってくるにちがいないが。

ちょっと驚いたのは、天安門事件のことを大きくあつかっていたことである。確かに、大きな事件であったし、今の中国のあり方を考える上で重要な出来事ではある。それを、今日の視点からということにはなるが、かなり中国政府に対して批判的な立場からの内容になっていた。天安門事件における趙紫陽の存在を、ここでふりかえって思い出すことになった。(今では中国についての報道においては、天安門事件のことには触れないというのが基本となっているように思える。まあ、毎年六月四日は、当局の警戒の様子が報じられはするのだが。)

報道の分野においてテレビというものの存在がどうなっていくのか分からないところがある。少なくとも言えることは、報道における史料批判の批判的精神のあり方ということになるのかとも思う。ただ、情報を拡散するだけのSNSの時代にあって、確かな世界観、人間観と、そして、事後の検証……これを確保できるのは、やはり旧来のテレビとか新聞とかのメディアであると思う。

2023年3月31日記

『舞いあがれ!』あれこれ「私たちの翼」2023-04-02

2023年4月2日 當山日出夫

『舞いあがれ!』最終週「私たちの翼」
https://www.nhk.or.jp/maiagare/movie/week26/

終わった。なんだかんだあったと思うが、無事に半年がたった。これは、朝ドラのなかでも傑作の部類に入るのではないだろうか。

空を飛ぶことを夢見る女性の物語で、パイロットになる話しかと思って見ていたら、途中で町工場の話しになった。だが、これはこれで面白かったし、また、最後には、空飛ぶクルマということで、町工場の仕事と空を飛ぶことが重なる展開になっていた。

人力飛行機のこと、航空学校のこと、それから、町工場のこと、それぞれに面白かったと思う。また、五島のことも折にふれて出てきていて、これも最後には五島の空を飛ぶところで終わった。

このドラマは近未来まであつかっていた。ドラマのなかでは、最終は二〇二七だった。このときに、まだ空飛ぶクルマの実用化は無理だろうと思うのだが、しかし、ドラマとしては、このような終わり方であっていいと思う。

ところで、舞は、ドラマのなかでは一貫して岩倉であった。結婚して梅津になったが、それが明示されるのはオープニングの名前のときだけで、ドラマのなかで岩倉と呼ばれ、自らもそう名乗っていた。これは、仕事をする女性は結婚しても、同じ苗字を使いつづけるという、今の時(あるいは、これからの時代)に、合わせたということなのだろう。また、それを見ていて特に不自然に感じないのも、今の時代の流れである。

さて、次週からは『らんまん』である。これも続けて見ることにしよう。

2023年4月1日記

ブラタモリ「汐留」2023-04-03

2023年4月3日 當山日出夫

ブラタモリ 汐留

むかし、学生のころだったと思うが、何かの用事で、浜離宮の近くまで歩いて行ったことがあるのを覚えている。ただし、公園の中には入ったことがない(と思う。)

番組を見ていた思ったのは、若い時、東京に住んでいたころは、まだ汐留の再開発の前のことになる。なんとなくではあるが、汐留の貨物駅のことは記憶に残っている。

田町には長い間かよっていたのだが、大汐線のことは知らなかった。基本的に、ほとんど鉄道には興味のない人間である。しかし、それがさらに利用されて羽田と結ぶようになるというのも、面白い。だが、もう、私の場合その路線を使うことは無いだろうと思う。そもそも東京に行くことがほとんど無くなってしまったし、行くときは新幹線の利用の方が便利である。

江戸の町が海を埋め立てて作っていった経緯が少し分かって、これは面白かった。番組では言っていなかったが、昔の埋め立て前の絵図には、浜離宮は描かれていない。では、いつごろどうやって作っていったのか、このあたりの解説があると良かった。

ゆりかもめにも、一度は乗ってみたいとおもっていたりしたが、今では、その気も失せてしまっている。とはいえ、浜離宮には、何か機会があれば行って中に入ってみたいと思う。それはいったいいつのことになるだろうか。

2023年4月2日記

『どうする家康』あれこれ「家康、都へゆく」2023-04-04

2023年4月4日 當山日出夫

『どうする家康』第13回「家康、都へゆく」

これまで戦国時代を舞台にした大河ドラマでは、何度も京の都が描かれてきていた。近年では、『麒麟がくる』のときのことが記憶に新しい。ここでは、荒廃した都であった。

この『どうする家康』の京の都は、繁栄している。まさしく、都というにふさわしい。多くの品物があり、女性が美しく、芸能があり、南蛮人もいたりする。まあ、細かなことを言えば、女性の化粧がちょっと現代風かなという気がしないでもないが、まあ、このあたりは、今の時代のドラマということで見ておけばいいことだろう。

この回を見て感じたことは、これはかなり『麒麟がくる』を意識して作ってあるな、ということである。明智光秀、将軍義昭、これらの人物造形が、『麒麟がくる』とはかなり異質である。だから悪いということはないが、これも一つのドラマの作り方なのであろうと思う。

その当時、金平糖は貴重なものであったろうが、これを巧みに小道具に使っていた。そして、お市の再登場。この家康との面会の場面は、ちょっと設定に無理があるかなという感じがあるが、これもいいだろう。

歴史ドラマであるから、これから、浅井がどうなるかは分かっているのだが、はたして、家康はどうすることになるのだろうか。次回は選挙のため一回休みで次の週からになる。続きを楽しみに見ることにしよう。

2023年4月3日記

桜のつぼみ2023-04-05

2023年4月5日 當山日出夫

水曜日なので写真の日。今日は桜のつぼみである。

この桜の木の花は、もう散ってしまった。先月のうちに、まだ花が咲く前に写したものである。

徒然草に言う……花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。(これは、記憶で書いているので、ちょっと間違っていたかもしれないが。徒然草ぐらい私の部屋にある本なのだが、確認しに行くのが面倒なのである。)

花が咲いて満開の状態もいい。しかし、花の咲く前の様子。それから、散った後、これもまた風情のあるものである。私は、どちらかというと、花が咲く前のつぼみの状態、もうちょっとで花が咲くかというときに、もっともこころひかれる。

桜の花の咲く前にと思って写した写真である。

桜のつぼみ

桜のつぼみ

桜のつぼみ

桜のつぼみ

Nikon D500
TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD

2023年4月4日記

映像の世紀バタフライエフェクト「戦争の中の芸術家」2023-04-06

2023年4月6日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 戦争の中の芸術家

年度が替わって、この番組もリニューアルしたと感じる。この回は非常に充実した内容だった。そして、考えるところが多かった。番組のナレーションも替わった。

私は、フルトヴェングラーのCDは持っていない。嫌いなのではない。今の時代、妙に神格化された存在になってしまっているのが、どこなく嫌なのである。決して、彼がナチの賛同者であったという風説を考えてのことではない。

つまりは、フルトヴェングラーはドイツという国、国民について、愛国者であったのだろう。それがたまたま、ヒトラーの時代に巡り合わせたという運命であったと、今からなら言うことができようか。この意味では、ゲルギエフも、たまたまプーチンの時代のロシアに生きた芸術家であると言うことができるだろう。

ショスタコーヴィチの交響曲のCDは持っている。最近は、クラシック音楽のCDを聞くこともほとんどなくなってしまってはいるのだが、探せばあるはずである。印象として思っていることは、ソ連の時代に生きて、それの抵抗を秘めた音楽である言っていいだろうか。

火野葦平については、正直言って、名前は知っているのだが、読んだことはない。おそらく、近現代の文学史のなかで、『麦と兵隊』は名前は出てくるが、ただそれで終わってしまっているような気がする。そして、戦争中に多くの文学者が、いわゆる戦争協力となったのだが、そのなかで最も華々しく活躍し、そして、忘れ去られてしまった作家と言うべきだろうか。登場していた、林芙美子は今でも読まれている。確か、高校か中学のときの国語の教科書に『放浪記』が採録されていたのを記憶している。また、今でも、文庫本でいくつかの作品を読むことができる。(ただ、調べてみると、火野葦平の作品のいくつかは今でも刊行されている。)

戦争と芸術について、単に善悪の賛否を求めることは慎重であるべきだろう。聞きたくない音楽、読みたくない作品があることはいたしかたないだろう。が、その価値観を強制することも、また慎まなければならないことであると、今は思う。

バレンボイムとかゲルギエフのCD、しまってあるのを探して聞いてみたくなった。

2023年4月4日記

ザ・バックヤード「海洋研究開発機構」2023-04-07

2023年4月7日 當山日出夫

ザ・バックヤード 海洋研究開発機構

この番組も四月から再スタートである。その始めは、海洋研究開発機構。

JAMSTEC、あるいは、「しんかい」については、確か以前に「ブラタモリ」で取り上げたことがある。

そもそも海洋研究開発機構という組織そのものが、一般の生活からは馴染みがないので、まるごとバックヤードと言っていいかもしれない。そのなかから、今回は、深海の生物の生態系、海洋プラスチック、軽石、スーパーコンピュータを取り上げていた。どれも興味深い。どのテーマでも、三〇分を使っていいような内容なので、全体で三〇分に収めるのは、ちょっと無理があったようにも感じる。

私が見て興味深かったのは、深海の生態系のはなし。トッププレデターが、どの海域でどの生きものが担っているのか、まだ分かっていないらしい。深海という場所が、そもそも未知の領域である。

こういう基礎的な研究が、直接には今日明日の生活に結びつくものではないかもしれない。しかし、将来のためには、このような地道な研究が必須なのである。

2023年4月6日記

100カメ「気球レース」2023-04-08

2023年4月8日 當山日出夫

100カメ 気球レース

「100カメ」もシーズン3である。以前、時々見ていた。前回のシリーズはほとんど見ただろうか(録画しておいて翌日以降、ゆっくりと見るというスタイルであるが。)この番組も、レギュラー番組として定着するのかもしれない。ただ、制作に手間がかかるだろうから、毎週というわけにはいかないだろうが。

気球レースであるが、まったく何にも知らなかった。熱気球が、空気を暖めて上に昇るという程度の知識しか持っていなかった。そのレースが行われているということ、そして、それがどんなルールで、どんなふうにして開催されているのか、とても興味深かった。なるほど、このようなレースは、だだっ広い北海道ぐらいでしか開催できないものなのかもしれない。

それにしても、自分自身では、上昇するか下降するか、上下にしか移動できない気球を、どうやって目的地に飛ばすのか、面白かった。また、目的地に飛ばすのも難しいが、着陸地点を見つけて地上に降りるのも、難問である。

世の中にはいろんなことがあるものだと思う。

2023年4月7日記

『らんまん』あれこれ「バイカオウレン」2023-04-09

2023年4月9日 當山日出夫

『らんまん』第1週「バイカオウレン」

『らんまん』のHPを見ると、これまでの朝ドラHPにあった「あらすじ」のコーナーが見当たらない。少なくとも独立した存在ではなくなったようだ。HPの作り方の方針が変わったようだ。

牧野富太郎がモデルである。牧野富太郎の名前は若いときから知ってはいたが、どんな人物であったのかはほとんど知らない。独学の人、在野の人であったという程度の認識である。

学生のとき、国語学の講義で金田一春彦先生に習った。そのときに牧野富太郎の名前が出てきた。金田一先生が若いとき、牧野富太郎の植物観察会に出席していたときのことが、なんどか話しの中に出てきた。その時のエピソードなど、いくつか覚えている。また、たしか、国語学会の講演会であったろうか、金田一先生の話しで、日本語の植物名のことがテーマであったことを記憶している。

たぶん、私と同じような体験を持っている国語学、日本語学の研究者は多いのではなかろうかと思う。

また、牧野富太郎には、おそらく近代以前からの本草学の知見が流れ込んでいるであろうことも、推察できる。本草学という分野は、扱い方にもよるが、日本語史とその文献研究の領域の一つと言ってもよいかもしれない。

ところで、第1週を見たところで思うことを書いてみると、さすがに牧野富太郎をモデルにしたドラマだけのことはあると思ったところがある。それは、主人公の万太郎が、地面から植物を採るとき、根をふくめて採っていることである。普通なら、花を摘むとき、茎を折って地面から上の部分だけを採る。しかし、このドラマではそうしていない。オオバコを採るときでも、根から引き抜いていた。

さて、次週以降、土佐での物語はつづくようである。楽しみに見ることにしよう。

2023年4月8日記

ドキュメント72時間「いとしのドールに見つめられて」2023-04-10

2023年4月10日 當山日出夫

ドキュメント72時間 いとしのドールに見つめられて

これは面白かった。

まあ、人の趣味の世界にとやかく言うのは野暮であるとは承知しているが、しかし、このような趣味の世界があるとは、驚きである。

ドールには、男性のものもあるという。だが、画面に映っていたのは圧倒的に女性、それも若い、あるいは、幼いとさえいえる、顔立ちのものが多かったのは、ちょっと気になるところである。画面に映っていた限りでの判断になるが、その顔立ちにはある傾向がある。どう言っていいのかわからないが、かわいくもあり、アニメ的、漫画的である。

それを愛好する人たちは、老若男女とわずいる。また、日本人に限らず、外国の人にも人気だという。

世の中にはいろんな人がいるものである、というのが正直な感想。といって、こういう趣味が、堂々と世の中にとおる時代がやってきたというのも、一つの時代の変化なのであろう。一昔前であれば、かなり異質な、猟奇的な趣味と見なされていたものにちがいない。おそらくこれは、近年のSNSの発達による新たなコミュケーションの結果であろう。

総合的に考えて、何かしら、確実に世の中が変化してきているというのを感じさせる回であった。たぶん、これは、今年のベストテンに入るだろう。

2023年4月8日記