『生きづらさについて考える』内田樹/毎日文庫 ― 2023-04-22
2023年4月22日 當山日出夫
内田樹.『生きづらさについて考える』(毎日文庫).毎日新聞出版.2023(毎日新聞出版.2019)
https://mainichibooks.com/books/paperback/post-599.html
内田樹の本は、たいてい読むようにしている。特にその語ることに賛成するということではない。賛同できるのは、半分ぐらいかなというところである。ただ、その姿勢については、かなり共感するところがある。
それは、情理をつくして説くという姿勢にあると言ってよい。(まあ、内田樹の本のすべてがそうであるとは思わない。単なる居酒屋談義としか読めない本もあったりもするが。)
この本についても、賛成するところ半分、どうかなと思うところ半分、といったところである。どうかなと思うのは、賛成しないということではない。単なる居酒屋談義的評論の域を出ないと感じるものが、かなりあることは確かである。
さて、この本で私が共感して読んだところは、天皇……この場合は、今の上皇陛下になる……について論じたあたりである。現にある天皇個人(と言っていいだろうか)と、制度としての天皇制は、区別して考えなければならないことは無論である。だが、そのような留保をつけるとしても、今の日本の天皇制は、かなりうまく機能していると言っていいのかもしれない。そして、この天皇という存在をどう現実の政治、社会、国家の統治のなかで生かしていくか、これが実際的な課題となる。
この本における、天皇論については、私はかなり賛同するところがある。
また、近未来の日本社会のあり方についても、悲観的予想をふまえたうえで、今できることを将来のために積み重ねていくしかないだろうとは思う。
そして、日本の学術、教育の現状と未来については、そのとおりとしかいいようがない。だがだからといって、昔の大学は良かったと懐古する気にはあまりなれないのだが。(といって、今の大学の方がいいともいえない。まあ、昔の方がよかったという面も否定できないというあたりになるか。)
2023年2月8日記
https://mainichibooks.com/books/paperback/post-599.html
内田樹の本は、たいてい読むようにしている。特にその語ることに賛成するということではない。賛同できるのは、半分ぐらいかなというところである。ただ、その姿勢については、かなり共感するところがある。
それは、情理をつくして説くという姿勢にあると言ってよい。(まあ、内田樹の本のすべてがそうであるとは思わない。単なる居酒屋談義としか読めない本もあったりもするが。)
この本についても、賛成するところ半分、どうかなと思うところ半分、といったところである。どうかなと思うのは、賛成しないということではない。単なる居酒屋談義的評論の域を出ないと感じるものが、かなりあることは確かである。
さて、この本で私が共感して読んだところは、天皇……この場合は、今の上皇陛下になる……について論じたあたりである。現にある天皇個人(と言っていいだろうか)と、制度としての天皇制は、区別して考えなければならないことは無論である。だが、そのような留保をつけるとしても、今の日本の天皇制は、かなりうまく機能していると言っていいのかもしれない。そして、この天皇という存在をどう現実の政治、社会、国家の統治のなかで生かしていくか、これが実際的な課題となる。
この本における、天皇論については、私はかなり賛同するところがある。
また、近未来の日本社会のあり方についても、悲観的予想をふまえたうえで、今できることを将来のために積み重ねていくしかないだろうとは思う。
そして、日本の学術、教育の現状と未来については、そのとおりとしかいいようがない。だがだからといって、昔の大学は良かったと懐古する気にはあまりなれないのだが。(といって、今の大学の方がいいともいえない。まあ、昔の方がよかったという面も否定できないというあたりになるか。)
2023年2月8日記
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