映像の世紀バタフライエフェクト「大東亜共栄圏の3年8か月」2023-04-29

2023年4月29日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 大東亜共栄圏の3年8か月

日本の戦時中のこととして、南方、東南アジアのことは、これまでの「映像の世紀」シリーズでも取り上げられてきていた。この回は、特に「大東亜共栄圏」をキーワードにしてまとめたものだった。

歴史的にみれば、「東南アジア」という概念が定着するきっかけになったのが、「大東亜共栄圏」という発想であったということになるのかと思う。それは、今日につながっている。

興味深く思ったのは、「大東亜共栄圏」という発想が、最初からあって、戦争を始めたということではないあたりのことになるだろうか。さかのぼってみるならば、大川周明とか、石原莞爾とか、このあたりの理論がどのようであったのか、ということもあるのだろう。だが、国家の指導部としては、「大東亜共栄圏」の構築ということではじめた戦争ということではなかったことになるようだ。

そして、良くも悪くも人材の交流ということの重要性である。南方特別留学生たちが、その後の日本と東南アジア諸国との関係においてはたした役割について、もう少し広く触れられているとよかった。彼らのその後がどうなったか、気になるところである。人的な交流の積み重ねが、将来にとって重要な意味を持つこともある。このことを考えておくべきだろう。

限られた時間の番組であるから、そこまでは無理かとは思うが、東南アジアにおける、ナショナリズムの歴史、それに、民族、宗教のことについても言及があるとよかったと思う。

ところで、興味深かったのは、メディア史。ラジオの深夜放送の最初については、特に考えたこともなかったが、メディア史的には、戦争とつながっていたことになる。メディアのなんたるかを実際に知っている人間が関わっていたことが知られる。

2023年4月25日記