『らんまん』あれこれ「ササユリ」2023-04-30

2023年4月30日 當山日出夫

『らんまん』第4週「ササユリ」

この週で描いていたことのポイントは、次の二点になるだろうか。

第一は、家ということ。

万太郎は、家業に束縛されている。自分では植物学をやりたいと思っているのだが、自由にならない。また、姉の綾も、峰屋の娘という立場を超えることができない。さらには、使用人の竹雄も、あくまでも峰屋の使用人という立場である。

家に束縛され、そこから自由になることのできない人びと、こう書くと悲惨なイメージがあるのだが、しかし、それでも、万太郎たちは明るく生きている。家の束縛ということはありながらも、それに押しつぶされることのない明るい生き方が、このドラマの良さなのだろう。

第二は、自由ということ。

時代としては、自由民権運動の時代である。土佐においても、その運動はさかんである。ここで万太郎は「自由」という概念と出会うことになる。自分も、峰屋の束縛から逃れて自由に生きたいと決意する。

そこに登場していたのが、中濱万次郎である。このあたりは架空の話しだろうと思って見てはいたのだが、「自由」ということばの意味を体現した人物としてふさわしい。

以上の二点を思ってみる。

ところで、番組を見ていてふと思ったのだが、ジョン万次郎は、どの航路でアメリカに行ったのだろうか。太平洋をわたったのだろうか。

ペリーが日本に来たとき、その航路は、大西洋からインド洋を経て東へと進むというものであった。太平洋をわたってきたのではない。このことについては、以前に書いたことがある。

やまもも書斎記 2016年6月11日
ペリーはどうやって日本に来たのか
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2016/06/11/8108879

また、メルヴィルの『白鯨』を読むと、アメリカの捕鯨船は、ペリーと同じように大西洋からインド洋を経て太平洋にむかっている。

やまもも書斎記 2017年5月13日
『白鯨』メルヴィル
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/13/8556408

さて、ジョン万次郎は、どのようにしてアメリカに行き、また、帰ってきたのだろうか。気になるところである。

2023年4月29日記