ザ・バックヤード「国立天文台三鷹本部」2023-06-24

2023年6月24日 當山日出夫

ザ・バックヤード 国立天文台三鷹本部

これは面白かった。

国立天文台というのは知っていたが(名前だけであるが)、その本部が三鷹にあるということは知らなかった。地下に重力波の観測装置を作れるとなると、三鷹あたりになるのかなと思ったりもする。

すばる望遠鏡が、今では、日本にいてリモートで観測できるということも、始めて知った。今の時代ならではのことである。

中に工場があって、観測機材の部品の製造までやっているとは驚きである。また、使用しているコンピュータも、パーツを組み立ててのものだという。

とにかく面白かったのだが、一つ気になることを書いておくと、さて、この国立天文台には、どれぐらいの予算があるのだろうか。最新鋭の観測のための予算も必要であるが、これからの若い人たちが天文学という領域に興味をもって入ってくるのを受け入れることが、十分にできるのだろうか。(どうもこのあたり、仄聞するあたりでは、日本の学術にかける経費は、かなり厳しいらしいのだが。)

宇宙の謎を解く……このことに魅力を感じる若い人がこれからどんどん出てきてほしいと思うし、また、そのような若い人が活躍できる場所があることに期待したい。

2023年6月23日記

『街道をゆく 北のまほろば』司馬遼太郎/朝日文庫2023-06-24

2023年6月24日 當山日出夫

北のまほろば

司馬遼太郎.『街道をゆく 北のまほろば』(朝日文庫).朝日新聞出版.2009
https://publications.asahi.com/kaidou/41/index.shtml

このところ「街道をゆく」を読んでいる。

「北のまほろば」もNHKで放送していたのを見た。全部きちんと見たというのではなかったと思うが、部分的には憶えている。十三湖の映像がきれいだったのを印象的に憶えている。

もとは一九九四年に「週刊朝日」連載。一九九四年というと、この週刊誌連載の途中で、三内丸山遺跡が発見されたときになる。今からおもえば、タイムリーに連載していたことになる。

青森が舞台である。青森は、過去には通過したことがあるだけである。青函連絡船に乗った経験があるので、青森県は通っている。しかし、特にここが青森であると意識して行ったことは、残念ながらない。

著者は「まほろば」と言っている。一般に青森というと北の辺境というイメージがあるかと思うのだが、しかし、古くからそこに暮らしてきた人びとにとっては、非常に豊かな土地であったことになる。特に、縄文の昔にさかのぼれば、東北地方のこのあたりこそ、豊饒の地であった。

この本を読んで思うことは、「日本」という国の重層性、多様性である。えてして、中央……古代では奈良であり平安京であり、あるいは、江戸であり東京であり……の歴史で、「日本」を見てしまいがちであるが、そのような考え方の浅薄さに気づくことになる。「日本」には、古来よりそれぞれの土地に人びとが住み、それぞれに豊かに暮らしてきた。それを狭義の「日本人」でとらえることは無理がある。「日本」において暮らしてきた多くの人びとの多様なあり方に目を向ける必要があるだろう。

太宰治のことが出てくる。太宰治は、数年前の新潮文庫版で、その小説をまとめて読んだのだが、これも読みかえしてみたくなった。

石坂洋次郎のことが出てくる。『若い人』は、若いころから何度か読んでいる。司馬遼太郎は、この作品を高く評価している。読みかえしてみたい本の一つである。

棟方志功は、一応の知識はあるつもりでいた。だが、この本を読んで認識を新たにした。

「街道をゆく」をつづけて読んでみようと思っている。

2023年6月23日記