「“玉砕”の島を生きて(2)〜サイパン島 語られなかった真実〜」2023-08-29

2023年8月29日 當山日出夫

ETV特集 “玉砕”の島を生きて(2)〜サイパン島 語られなかった真実〜

サイパン島の崖から身を投げる女性の映像を始めて見たのは、たしか映画「東京裁判」のときだったと記憶する。その後、「映像の世紀」シリーズなどで、いくどか見ている。思うこととしては、一般市民の自決という悲劇もあるが、それを写している人間がいたという、一方の事実である。ある意味で、戦争の悲劇は、このような映像を残した側への想像力で喚起されるものかと思う。

関係者への長年の取材は高く評価されていいものである。長期にわたる取材の結果として、貴重な証言を得ている。そして、それは、サイパンでおこった出来事が、その後の人生において容易に忘れたりできるものではないことを示すことにつながっている。

サイパンで何があったのか、それをチャモロなどの先住民の視点を交えて取材していることは、重要である。その先住民が語っていることとしては、国家を持たない民族であり、ドイツやスペインやアメリカや、そして、日本に統治される歴史であったことである。だからといって、日本がその地で行ったことが免責されるわけではないが、大国の利害に翻弄されてきた島の住民の歴史を、長い目で見ることは意味があると考える。

番組で語っていなかったことで気になるのは、米軍に投降したりして収容所に入ることになった人びとが、その後どのような生活を行っていたのか、ということである。(このことについては、少し触れているところがあったが。)が、ここは、サイパンのその後の米軍統治の様子まで含めて語ってほしかったところである。

それにしても、バンザイクリフが観光地になってしまっているということは、悲しむべきことだと感じざるをえない。かつて、そこで何があったのか語り継ぐ必要はあるが、そのあり方については、考えなおすときにきていると思う。

2023年8月28日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2023/08/29/9613392/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。