「窓際族が世界規格を作った〜VHS・執念の逆転劇〜」2024-06-05

2024年6月5日 當山日出夫

新プロジェクトX 窓際族が世界規格を作った〜VHS・執念の逆転劇〜

この番組を見るのは三回目かと思う。

たしかに、VHSの開発物語としては面白い。だが、ここから、将来の日本のために学ぶものがあるだろうか。

会社の上層部に内緒での製品開発ということは、今の日本でできるだろうか。今の日本のメーカだったら、不採算部門は、あっさりと切り捨てる、というのが普通だろう。マーケット至上主義からすればそうなる。また、最近では、株主に対する説明をどうするか、という問題もある。

以前の放送のときも思ったことなのだが、VHSの開発にたずさわった技術者の学歴が、工業高校なのである。現在の日本で、新規な製品開発となると、大学の工学部卒業以上、ということだろう。では、今の日本の大学にそれだけの人材を育成するちからがあるだろうか。失われた三〇年という時代は、大学の改革という名のもとに、大学の教育、研究の場としてのちからがそがれていった時代でもある。研究に意欲のある学生が、大学院の博士課程まで希望するということが減ってきている時代でもある。

大学を出て、企業のOJTで、これからどれほどの人材が育成できるだろうか。

また、企業というものが、そこで働く社員の人生に責任を持つ、という社会の考え方も、今では崩壊している。上司が、部下の社員たちの雇用を守る責任がある、という考え方は、もう通用しないだろう。

ただ、参考になるかと思うのが、ビクターが開発したVHSの規格について、他の企業に情報を公開したことである。そのことによって、VHS規格のシェアを取ることに成功した。このことは、参考事例になるにちがいない。

だが、これもこれからの時代どうだろうか。結局は、中国の企業に全部もっていかれるということになるかもしれない。

番組としては面白いのだが、これからの日本の製造業がここから何を学ぶべきか、その肝心のメッセージを語ることができなかったのが、残念なところである。

2024年6月3日記

上記の文章を書いてから、ニュースでトヨタなどの自動車メーカの認証不正を報じていた。物作りの基本がどうかしてしまったとしか思えない。

2024年6月4日記

ザ・バックヤード「三段峡」2024-06-05

2024年6月5日 當山日出夫

ザ・バックヤード 三段峡

三段峡は知らなかった。景色がいいところは、それだけ昔からの自然が残されているということであり、その目で観察、調査するならば、いろんなことが分かる、これまでの「ザ・バックヤード」の番組とはちょっと趣は変わっているのだが、とても面白い。

特に、ツツジの花の種類で、西日本の中国、四国、九州の一部にしか存在しないものがある。その分布が、古代、中国地方と四国地方が地続きであった時代の河川の流域と重なるというのは、とても面白い。

ここでも貴重な植物の盗難があるというのは、悲しむべきことである。

2024年5月31日記