「フセイン拘束~捕らえられた独裁者の真実~」 ― 2024-06-14
2024年6月14日 當山日出夫
アナザーストーリーズ フセイン拘束~捕らえられた独裁者の真実~
再放送である。最初の放送は、二〇二二年。
アメリカのイラクでの戦争は失敗だったというのが、一般の認識だろう。サダム・フセインは、大量破壊兵器を持ってはいなかった。そして、サダム・フセインを排除した後のイラク、あるいは、中近東、周辺諸国の政情は不安定さをましている。
印象に残ることがいくつかある。
まず、最初に出てきたアメリカ陸軍の軍人。軍人とはこういうものなのだろう。命じられたことを、着実に実行する。作戦をたてて、その任務が達成できたかどうかについて責任を負う。その任務について、政治的にことの是非はあるにちがいないが、しかし命令にしたがう。こういう不屈の精神こそが、軍人というものだと感じるところがある。テレビの画面では、アーリントン国立墓地が映っていたが、軍人は栄誉をもって遇されるべきである。
CIAが、捕まえたフセインを尋問したのだが、結局、大量破壊兵器はなかったと結論づけざるをえなかった。一方で、各所を徹底的に探して物証が無かったということもあるにちがいないが、フセインという人物を直接尋問することによって、どんな人間なのか、そこにせまっていくには、人と人が直接対面して話しをするしかない。これは、何よりも重要なことだろう。
フセインの愛人とされた女性。フセインという人物もまた人であるということになる。その事跡はたしかに悪であったかもしれない。特に、湾岸戦争の発端となったクェート侵略は、正当化されるものではない。だが、どんな独裁者であっても、人としての顔があることになる。その人間をどう評価するか、という側面もまた重要なことであるのだろう。
世界には、独裁者が多くいる。その圧政のもとで苦しんでいる人びともいる。だが、世界全体の秩序を維持するということを考えると、独裁政権だから強引に倒してもかまわない、ということにはならない……そのような教訓を、イラク戦争の事例から学ぶことができるのだろうか。
また、イラクにおいて政権が国際情勢をどう認識していたのか、また、アメリカにおいてイラクの内情についてどれだけのことをつかんでいたのか、認識の齟齬が不幸を生むということでもある。それぞれの国における国際情勢への認識、また、その国なりの行動原理、というものが、広く国際的な世論のなかで知られるべきということになるのかもしれないのだが、はたしてどうだろうか。
といって、今の中国とかロシアのことを肯定するということにはならないのではあるが。
2024年6月13日記
アナザーストーリーズ フセイン拘束~捕らえられた独裁者の真実~
再放送である。最初の放送は、二〇二二年。
アメリカのイラクでの戦争は失敗だったというのが、一般の認識だろう。サダム・フセインは、大量破壊兵器を持ってはいなかった。そして、サダム・フセインを排除した後のイラク、あるいは、中近東、周辺諸国の政情は不安定さをましている。
印象に残ることがいくつかある。
まず、最初に出てきたアメリカ陸軍の軍人。軍人とはこういうものなのだろう。命じられたことを、着実に実行する。作戦をたてて、その任務が達成できたかどうかについて責任を負う。その任務について、政治的にことの是非はあるにちがいないが、しかし命令にしたがう。こういう不屈の精神こそが、軍人というものだと感じるところがある。テレビの画面では、アーリントン国立墓地が映っていたが、軍人は栄誉をもって遇されるべきである。
CIAが、捕まえたフセインを尋問したのだが、結局、大量破壊兵器はなかったと結論づけざるをえなかった。一方で、各所を徹底的に探して物証が無かったということもあるにちがいないが、フセインという人物を直接尋問することによって、どんな人間なのか、そこにせまっていくには、人と人が直接対面して話しをするしかない。これは、何よりも重要なことだろう。
フセインの愛人とされた女性。フセインという人物もまた人であるということになる。その事跡はたしかに悪であったかもしれない。特に、湾岸戦争の発端となったクェート侵略は、正当化されるものではない。だが、どんな独裁者であっても、人としての顔があることになる。その人間をどう評価するか、という側面もまた重要なことであるのだろう。
世界には、独裁者が多くいる。その圧政のもとで苦しんでいる人びともいる。だが、世界全体の秩序を維持するということを考えると、独裁政権だから強引に倒してもかまわない、ということにはならない……そのような教訓を、イラク戦争の事例から学ぶことができるのだろうか。
また、イラクにおいて政権が国際情勢をどう認識していたのか、また、アメリカにおいてイラクの内情についてどれだけのことをつかんでいたのか、認識の齟齬が不幸を生むということでもある。それぞれの国における国際情勢への認識、また、その国なりの行動原理、というものが、広く国際的な世論のなかで知られるべきということになるのかもしれないのだが、はたしてどうだろうか。
といって、今の中国とかロシアのことを肯定するということにはならないのではあるが。
2024年6月13日記
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