ザ・バックヤード「東京文化財研究所」 ― 2024-06-29
2024年6月29日 當山日出夫
ザ・バックヤード 東京文化財研究所
番組の始めのところで、「東京文化財研究所」について「通称、東文研」と言っていたが、ちょっと気になった。「東文研」という組織は、東京大学東洋文化研究所もある。これも、一般的には略して「東文研」と言われる。(こちらの「東文研」もいずれこの番組で取りあげてほしいと思っているが。)
文化財についての保存科学においては、日本で中枢となる研究施設である。文化財、博物館、美術館などに関心のある人で、ここのことを知らない人はいないだろうう。図書や写真資料について、その保存や修復技術の研究開発については、それぞれに面白い内容であった。
ただ、日本の文化財行政について考えるならば、どうしても縄張り意識というか、守備範囲の違いというか(ことばは悪いかもしれないが)、このような側面がある。私が関心のあるところでの古典籍についても、その所蔵が、図書館なのか、博物館なのか、美術館なのか、文書館なのか、あるいは、大学などの研究機関なのか、さらには、神社仏閣なのか、個人蔵なのか……によって、保存のあり方や、閲覧、調査の手順などが異なる。考古学の分野でも、発掘調査は、どの機関、組織であるかによって、どこをどう調査できるかということも違う。このあたりを、日本国民の文化財ということで、相互の関係を調整するのも、これも重要な仕事である。それがどこまで実現できているかということについては、まだまだ課題が多いかと思っている。
高松塚古墳のことについて言えば、これは発見したときに、すぐに解体して保存処理をほどこすべきことであったことになる。その当時の技術で何が可能であったかということは問題になるとは思うが。
番組では言及していなかったことだが、最近では、文化財についての高精細デジタル画像アーカイブの課題もある。これが、上記のいろんな所蔵者に横断的に使われ、オープンに利用可能になっていくのが、将来の目標ということだろう。インターネット公開ということを考えれば、近年の動向としては、IIIFという方向になってきてはいる。
だが、権利関係については、未整備なところが多々ある。無償で自由に利用できるものもあれば、利用申請が必要なものもあり、また、利用料金の発生する場合もある。最近では公的機関の所蔵の文化財については、画像データの利用がオープンになってきている。まあ、このようなことは、東文研の管轄外と言ってしまえばそれまでなのだが、利用者サイドから見れば、どうにかならないものかと感じる。
とはいえ、もう隠居の身としては、東文研はこんなこともやっている研究機関なのかと思って見ていたことになる。
2024年6月27日記
ザ・バックヤード 東京文化財研究所
番組の始めのところで、「東京文化財研究所」について「通称、東文研」と言っていたが、ちょっと気になった。「東文研」という組織は、東京大学東洋文化研究所もある。これも、一般的には略して「東文研」と言われる。(こちらの「東文研」もいずれこの番組で取りあげてほしいと思っているが。)
文化財についての保存科学においては、日本で中枢となる研究施設である。文化財、博物館、美術館などに関心のある人で、ここのことを知らない人はいないだろうう。図書や写真資料について、その保存や修復技術の研究開発については、それぞれに面白い内容であった。
ただ、日本の文化財行政について考えるならば、どうしても縄張り意識というか、守備範囲の違いというか(ことばは悪いかもしれないが)、このような側面がある。私が関心のあるところでの古典籍についても、その所蔵が、図書館なのか、博物館なのか、美術館なのか、文書館なのか、あるいは、大学などの研究機関なのか、さらには、神社仏閣なのか、個人蔵なのか……によって、保存のあり方や、閲覧、調査の手順などが異なる。考古学の分野でも、発掘調査は、どの機関、組織であるかによって、どこをどう調査できるかということも違う。このあたりを、日本国民の文化財ということで、相互の関係を調整するのも、これも重要な仕事である。それがどこまで実現できているかということについては、まだまだ課題が多いかと思っている。
高松塚古墳のことについて言えば、これは発見したときに、すぐに解体して保存処理をほどこすべきことであったことになる。その当時の技術で何が可能であったかということは問題になるとは思うが。
番組では言及していなかったことだが、最近では、文化財についての高精細デジタル画像アーカイブの課題もある。これが、上記のいろんな所蔵者に横断的に使われ、オープンに利用可能になっていくのが、将来の目標ということだろう。インターネット公開ということを考えれば、近年の動向としては、IIIFという方向になってきてはいる。
だが、権利関係については、未整備なところが多々ある。無償で自由に利用できるものもあれば、利用申請が必要なものもあり、また、利用料金の発生する場合もある。最近では公的機関の所蔵の文化財については、画像データの利用がオープンになってきている。まあ、このようなことは、東文研の管轄外と言ってしまえばそれまでなのだが、利用者サイドから見れば、どうにかならないものかと感じる。
とはいえ、もう隠居の身としては、東文研はこんなこともやっている研究機関なのかと思って見ていたことになる。
2024年6月27日記
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