「キャンベル“千の顔をもつ英雄” (3)イニシエーション」2024-07-25

2024年7月25日 當山日出夫

100分de名著 キャンベル“千の顔をもつ英雄” (3)イニシエーション

神話について語っているのが基本のはずだが、なんとなくそれて物語の構造とか、さらには、それにどのような人間の人生の教訓が投影されているのか、という方向に向かっているような気がする。これは、神話の分析というよりも、神話というものを作ってきた人間とはどんなものなのか、どのようにして人生に意味を見出してきたものなのか、とい観点から考えるべきことなのかとも思う。

ただ、イニシエーションというと、通過儀礼として、一般にあるいは文化人類学の用語としてもちいる。私が、このイニシエーションということばを憶えたのは、学生のときに文化人類学の講義を聴いてのことである。さまざまな試練であったりするが、場合による擬似的な死を体験するということもある。そこからのよみがえりを経て、新たな人生をスタートすることになる。

まあ、朝ドラでときどきヒロインが水に落ちるのは、ドラマの構成としては一種のイニシエーションなのかと思って見ている。(ただ、今の『虎に翼』の場合は、あまりそういう意図を考えて作ってはいなかったようだが。)

どうでもいいことかもしれないが、この番組で紹介されている限りではあるが、どうにも男性中心的に考えているようである。ちょっと気になるところがあったりもするのだが、番組の作り方としては、特にこのような面には立ち入らない方針のようである。これはこれで一つの方針だと思う。

2024年7月23日記