「マンモス団地を歩いてみれば」2024-07-31

2024年7月31日 當山日出夫

ドキュメント72時間 マンモス団地を歩いてみれば

昭和四三年に作られた団地ということは、もうそろそろ建物の耐用年数が来ているはずである。将来的には、順次取り壊して再開発ということになるのだろう。東京近郊で、これから急激な人口減少という地域でもないようだから、適正規模の集合住宅に作り変えることになるだろうか。

団地のなかに自動車とか駐車場がほとんど見当たらない。これは、古く日本で団地というものが作られたときからの問題である。歩くか、バスか、という交通手段を前提に作られているので、自動車に対応していない。たぶん、この団地の近くには、ショッピングセンターなどあるのだろうが、どうやって移動しているのかということも気になる。ナレーションでははっきり語っていなかったが、商店街の店のかなりの部分はシャッターが閉まったままである。

買物だけではない、医療や介護はどのようになっているのだろうか。昔に作った団地だからエレベーターは基本的にない。高齢者にはつらいだろう。画面には多くのお年寄りが映ってはいたが、これはたまたま元気で自分で出歩けるという人のことになる。おそらく、階段を上り下りして出歩くことの難しい高齢者が多いのだろうと推測する。

子供たちが映っていたが、全体としては高齢化率は高い。撮影した曜日も関係するのだろうが、いわゆる子育て世代というものが出てきていなかった。公園で子どもを遊ばせる母親や父親の姿があってもよかったと思うのだが。

夜勤明けに朝早くサッカーをするベトナム人の労働者たち。東京近郊の工場であるが、このような人たちの存在抜きには、仕事ができないということになろうか。バングラデシュからきた男性とその家族。こういう人たちが、普通に隣人として生活しているのが、今の日本の姿ということになろう。

七〇〇〇人が暮らし、高齢化率が高い地域である。おそらく高齢者の孤独死ということもあるにちがいない。

番組の作り方、編集としては、この団地に生きる人をたくましく、また、人間味あふれるものとして描いていた。これは、このような方針に作ってあったということなのだろうが、テレビに映っていないものを想像して見ると、これからの日本の社会のあり方について、いろいろと考えるところのある企画だったと思う。

2024年7月29日記