「マルレ〜“特攻艇”隊員たちの戦争〜」2024-09-03

2024年9月3日 當山日出夫

BS1スペシャル 「マルレ〜“特攻艇”隊員たちの戦争〜」

再放送である。二〇二一年八月。この最初の放送のときは見ていなかった。

はっきりいって、戦術として無謀である、としかいいようがない。このことが、亡くなった隊員たちの無念として痛感するところである。

特攻としては、海軍の航空機によるものが知られている。一般的な知識としては、大西瀧治郎がいいだしたことであり、統率の外道、という認識はあった。だが、マルレについては、ただその時代の「空気」のなかで生まれて、そして、さしたる戦果をあげることなく、多くの犠牲者を出すのみで終わった。

誰が発案したのか、それを使った具体的作戦は、どのように決められたのか、せめてこの関係の資料が残っていればと思うのだが、詳しいことはわからないらしい。

海上で戦うことが出来なくなった隊員たちは、地上戦を戦うことになる。そこで待ち受けていたのは、敵の銃弾もあるが、飢餓であった。『野火』に描かれた状況まで追い詰められたことになる。太平洋戦争において、日本軍の死者のほとんどは、戦病死、飢餓によるものであったと言われている。

冷酷な見方かもしれないが、マルレは特攻兵器としては、無理があったというべきだろう。爆雷ひとつで、どれほどの損害を与えられるのか。残酷な言い方になるのだが、製造コストが安くてすむという他には、何のメリットがあったのだろうか。(無論、隊員の生命は無視してのことになるのだが。)

番組の冒頭で映っていた隊員の戦死の記録の部分。「特進」とあった。せめてものすくいというべきであろうか。

2024年9月2日記

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