『カーネーション』「熱い思い」 ― 2024-10-13
2024年10月13日 當山日出夫
『カーネーション』「熱い思い」
このドラマを見るのは、三回目ぐらいになるかと思う。たしかに傑作といっていい。全体としてよく作ってあるということもあるが、一つ一つの回の出来がいい。何よりも、画面の映像の説得力がある。端的に言ってしまえばということになるが、画面のなかに映り込んでいるモノの数が多い。岸和田の小原呉服店の家の中にはいっぱいモノがある。どれもその当時の人びとの普通の暮らしを感じさせるものばかりである。
糸子の働いているパッチ店の仕事場も、雰囲気がよく出ている。壁にかかった道具類も、さもありなんという感じがする。
単純なことかもしれないが、小道具類をきちんと準備するということは、それにかける考証の手続きがあって、制作があって、演出がある。それだけの手間暇をかけて考えて作っているということになる。
糸子が神戸のおじいちゃんと喫茶店に行くシーンもいい。短い時間の描写のなかに、当時の大阪の心斎橋のモダンな雰囲気がよく出ていた。昭和の初めのころ、都市部でモダンな文化が花開いていたが、岸和田の街ではほとんどが着物のままである。やっと奈津が洋服姿で登場してきていた。このドラマが進んでいって、糸子が洋服を作るようになっても、糸子自身は着物姿のままであったかと憶えているが、はたしてどうだったろうか。
このドラマの良さは、その当時のことを、その時代の人びとの視点、価値観で描いているということにある。それを踏み外すことがない。だからこそ、人間とはそういうふうにして生きているものなのだと、普遍的な説得力が生まれる。
母親の千代が言っていた。好きなことをして生きていくのは楽なことではない、と。また、八重子も言っていた、新しいことを女がはじめるのは大変である、と。さりげない台詞のなかに、その時代のなかに生まれて、いつのまにか新しい時代をきりひらいていくことになる、糸子の人生を予見させる。
2024年10月12日記
『カーネーション』「熱い思い」
このドラマを見るのは、三回目ぐらいになるかと思う。たしかに傑作といっていい。全体としてよく作ってあるということもあるが、一つ一つの回の出来がいい。何よりも、画面の映像の説得力がある。端的に言ってしまえばということになるが、画面のなかに映り込んでいるモノの数が多い。岸和田の小原呉服店の家の中にはいっぱいモノがある。どれもその当時の人びとの普通の暮らしを感じさせるものばかりである。
糸子の働いているパッチ店の仕事場も、雰囲気がよく出ている。壁にかかった道具類も、さもありなんという感じがする。
単純なことかもしれないが、小道具類をきちんと準備するということは、それにかける考証の手続きがあって、制作があって、演出がある。それだけの手間暇をかけて考えて作っているということになる。
糸子が神戸のおじいちゃんと喫茶店に行くシーンもいい。短い時間の描写のなかに、当時の大阪の心斎橋のモダンな雰囲気がよく出ていた。昭和の初めのころ、都市部でモダンな文化が花開いていたが、岸和田の街ではほとんどが着物のままである。やっと奈津が洋服姿で登場してきていた。このドラマが進んでいって、糸子が洋服を作るようになっても、糸子自身は着物姿のままであったかと憶えているが、はたしてどうだったろうか。
このドラマの良さは、その当時のことを、その時代の人びとの視点、価値観で描いているということにある。それを踏み外すことがない。だからこそ、人間とはそういうふうにして生きているものなのだと、普遍的な説得力が生まれる。
母親の千代が言っていた。好きなことをして生きていくのは楽なことではない、と。また、八重子も言っていた、新しいことを女がはじめるのは大変である、と。さりげない台詞のなかに、その時代のなかに生まれて、いつのまにか新しい時代をきりひらいていくことになる、糸子の人生を予見させる。
2024年10月12日記
『おむすび』「ギャルって何なん?」 ― 2024-10-13
2024年10月13日 當山日出夫
『おむすび』「ギャルって何なん?」
世評としてはいろいろあるようだが、私としては、このドラマは好みである。ただ、ギャルというのが、今ひとつ、というか、ぜんぜん分からないので、ちょっと理解に苦しむところもあるのは事実である。だが、このあたりのことも、これからの展開で解消されていくのだろうと思う。
何よりいいのが、その当時の(ほとんど現代であるが)普通の地方都市の高校生の生活感覚を描いていることである。結は、特に変わったところのある女子高校生ではない。家は農家である。ただ、姉が昔ギャルをやっていたこと、それから、幼いときの思いでが必ずしも良いものではないこと、など少し気になるところはある。
家族の関係、学校の友達との関係、書道部、野球など、普通の高校生としての生活をゆっくりと描いている。徐々にであるが、すこしずつ話しが進んでいく。
田舎の農村風景のなかを自転車で走る結の姿は、なるほど朝ドラのシーンだなと感じるところがある。
それから、ギャルといっても、いわゆる不良ではない。家庭環境には恵まれていないかもしれないが、しかし、それなりの生きる目標を持ってギャルをやっている。この時代に福岡の街でギャルをやっているというのは、時代錯誤的なところもあるのかとも思うが、これも、そのようなところにしか居場所を見つけられない少女たちと思って見ればいいのだろうと思う。
補導されて交番にいたところに、結が駆けつける。そのときの表情がとてもいい。
ところで、結のお母さんは、ギャル文字が読めたから天神の交番までやってきてくれたということなのだが、ドラマのなかで、結の携帯電話の画面を見るシーンはなかった。
このドラマは、栄養士になるストーリーということなのだろうが、食事の場面がいい。結の家の食卓もそうだが、ギャルが母親にかまってもらえなくて一人でインスタント食品で食事をしているシーンも、よく作ってあると感じる。
書道部と、野球と、ギャルと、これからどう展開していくことになるだろうか。
2024年10月12日記
『おむすび』「ギャルって何なん?」
世評としてはいろいろあるようだが、私としては、このドラマは好みである。ただ、ギャルというのが、今ひとつ、というか、ぜんぜん分からないので、ちょっと理解に苦しむところもあるのは事実である。だが、このあたりのことも、これからの展開で解消されていくのだろうと思う。
何よりいいのが、その当時の(ほとんど現代であるが)普通の地方都市の高校生の生活感覚を描いていることである。結は、特に変わったところのある女子高校生ではない。家は農家である。ただ、姉が昔ギャルをやっていたこと、それから、幼いときの思いでが必ずしも良いものではないこと、など少し気になるところはある。
家族の関係、学校の友達との関係、書道部、野球など、普通の高校生としての生活をゆっくりと描いている。徐々にであるが、すこしずつ話しが進んでいく。
田舎の農村風景のなかを自転車で走る結の姿は、なるほど朝ドラのシーンだなと感じるところがある。
それから、ギャルといっても、いわゆる不良ではない。家庭環境には恵まれていないかもしれないが、しかし、それなりの生きる目標を持ってギャルをやっている。この時代に福岡の街でギャルをやっているというのは、時代錯誤的なところもあるのかとも思うが、これも、そのようなところにしか居場所を見つけられない少女たちと思って見ればいいのだろうと思う。
補導されて交番にいたところに、結が駆けつける。そのときの表情がとてもいい。
ところで、結のお母さんは、ギャル文字が読めたから天神の交番までやってきてくれたということなのだが、ドラマのなかで、結の携帯電話の画面を見るシーンはなかった。
このドラマは、栄養士になるストーリーということなのだろうが、食事の場面がいい。結の家の食卓もそうだが、ギャルが母親にかまってもらえなくて一人でインスタント食品で食事をしているシーンも、よく作ってあると感じる。
書道部と、野球と、ギャルと、これからどう展開していくことになるだろうか。
2024年10月12日記
最近のコメント