「こどもホスピス いのち輝く第2のおうち」2024-12-06

2024年12月6日 當山日出夫

ザ・ベストテレビ 「こどもホスピス いのち輝く第2のおうち」

終わったあとのトークのなかで、森達也が、ホスピスをあつかった番組というと、どうしてもステレオタイプで見てしまうことになる……という意味のことを言っていたが、この番組は「こどもホスピス」というタイトルから受けるステレオタイプの見方を、超えている。このようなテーマの場合、どうしても、難病におかされたかわいそうな子どもという視点で見てしまいがちなのであるが、こどもホスピスは、そうではない、おそらく真の意味でのQOLを考えることに、その存在意義がある。

見ながら思ったこととしては……このように子どもに特化したホスピス……患者である子どもだけではなく、家族やまわりの人びと全体を支援する、QOLを考える……は、確かに必要であり、今後、もっと増えていくべきである。このような考え方、病気の子どもだけでなく、その家族を含めた全体的なサポートということが、おそらく今の日本の医療には、欠けている部分かと感じる。

狭い意味での医療……医学というサイエンスでありテクノロジー、と言っておくが……ではとらえきれない、それより広い範囲での人間の尊厳という側面に光をあてて、人間の生き方として全体を考える、このことの重要性を強く感じる。(こういうことがらをふくめて、医学というべきなのかとも思う。)

この意味では、別に対象者が子どもに限らない。成人であっても、(私のように)もう年老いた人間であっても、この視点は重要である。まあ、年齢によって、あるいは、家族の構成などによって(その病気になっているのが、子どもであるか、配偶者であるか、親であるか、それとも自分自身であるか)、その対応は個別に考えられなければならないという側面もあるだろう。

TURUMIこどもホスピスは、寄付によって設立され運営されている。WEBで見てみると、大きく関与しているのは、ユニクロと日本財団、ということになるようだ。その他に、個人からの支援もある。別にこのようなことは、特に番組内で言うほどのことではなかったかと思うが。

税金で運営すると、子どものためのゲーム機などを購入するときに問題が発生するかも、ということ、番組のディレクターが言っていた。こんなことは、ソニーとか任天堂が、実物を寄付すればいいだけのことだと思うのだが、それではうまくいかないということがあるのだろうか。

登場していた家族は、子どもが亡くなるまでの映像記録をとってはあるのだが、まだ見ることができないでいる。しかし、このような趣旨の番組のためであるなら、ということで提供してくれたとあった。このことは胸にせまるものがある。

ちょっと批判的な目で見てみると、ということになるが、登場していた家族は、映像で見るかぎりであるが、その生活はかなり裕福であると推測される。おそらく難病におかされる子供たちは、貧富のちがいなく存在するはずである。こどもホスピスという以前に、経済的援助が必要な家庭、あるいは、子どもたちも、多くいることだろう。

それから気になったことがある。番組のなかで触れていなかったことである。作文を発表していた小学生。自分が小児がんであることで、学校の友達が特別視することについて、そのようにしないで普通にあつかってほしいと語っていた。これは、そのとおりであろう。ただ、これが、大坂の豊中の事例であった。豊中市は、おそらく全国のなかで、インクルーシブ教育を推進している自治体である。障害がある子どもを、普通の学校で同じように受け入れる方針をとっている。その豊中においても、いや、だからこそというべきことかもしれないが、このように感じる子どもがいることは、印象に残ることであった。

やはり思うこととしては、本当の意味でのQOLを考えることが、医療や福祉、社会全体としてのあるべき姿である、ということである。子どもに限らずであるが、笑顔で生きられること、これを考えなければならない。

2024年12月5日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2024/12/06/9737493/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。