Asia Insight「地震からの再建 〜台湾 花蓮県〜」2025-01-17

2025年1月17日 當山日出夫

Asia Insight 地震からの再建 〜台湾 花蓮県〜

台湾で地震があった直後は、日本のテレビでもニュースで報道していたが、今ではまったく報道しなくなった。(印象的だったのは、地震直後の台湾での避難所の光景であったことは、記憶にあるのだが。)

花蓮県にタロコ族が、二万人ほど住んでいるという。台湾全体のなかでは、いわゆる少数民族、先住民族ということになるのだろう。おそらく、この人びとについても、その歴史があるはずである。少なくとも、日本の植民地時代のこと、それから、中国から蒋介石がやってきてから後のこと。だが、そういうことには、まったく触れることがなかった。これは、この番組の方針として、これでいいと思う。(えてして、日本のメディアが、こういう人たちのことを取材すると、日本の植民地時代のことを告発するようなことから始まらなければならないようなところがあるのだけれど。)

地震の直後のニュースで、タロコ渓谷の観光客の避難のことが大きな話題になっていたことは記憶している。だが、この地域が、タロコ族の人びとの生活の場であり、おおきく観光収入に頼っている、ということは、私が見たかぎりの日本のニュースでは語られていなかったと憶えている。

地震からの復興の話題と見ることもできるが、私にとって興味深かったのは、タロコ族の人びとの暮らしである。番組のなかで、この人びとの話しているのは、中国語だったと理解するのだが、その言語は、今、どれぐらいの規模で母語話者として残っているのだろうか。民族の文化が生きのこるためには、言語と宗教を基本として、日常の生活習慣や規範意識が重要である。観光客相手に、民族音楽と踊りを見せる、民芸品を作る、これ以外に、どのような生計の手段があり、生活をしているのだろうか。

観光業が復活するためには、道路の復旧と、生活インフラ(電気や水道など)が不可欠であるはずだが、まだ、困難がありそうである。台湾全体の経済のなかで、この地域の観光業はこれからどうなるのだろうか、と思う。

2025年1月15日記

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