『カムカムエヴリバディ』「1962」「1962-1963」2025-02-02

2025年2月2日 當山日出夫

『カムカムエヴリバディ』「1962」「1962-1963」

この週を見て思ったことなど書いておく。本来の放送での週の区切りとちぐはぐになるが、これはいたしかたない。

大阪のクリーニング店で働き始めたるいが、ジャズ喫茶のジョーと知り合い、そして、お互いに惹かれ合っていくということになる。

この週の放送の終わりで、ジョーの子どものときの回想シーンが、ようやく出てきた。これで、ジョーが、岡山で定一の店にいたトランペットの少年であったことが分かる、ということになる。だが、ジョーはそのことを、るいに告げるまでにはいたっていない。

トミーはベリーに、共鳴、ということばをつかっていた。これは、めぐまれた環境に生まれ育った二人(ベリーの生いたちはこれから明らかになるが)が、ジャズ喫茶で出会って、何かしら共通するものがあるということであろう。この時代のジャズ喫茶は、ドラマのなかではそうはっきりと描かれていないが、おそらくは不良の集まるところという印象だったろうと思われる。一方で、この時代、ジャズは、一部の知的エリートには、非常に人気のある音楽でもあった。(サブカルチャーには、このような、いわゆる低級な大衆向けというイメージの側面と、知的エリートの指向が合わさるという現象がある。)クラシック音楽の基本を学んだというトミーにとっては、ジャズは音楽の邪道でもあったにちがいない。

そして、この共鳴ということは、岡山で母の安子と別れた記憶のあるるいと、戦災孤児であったジョーとの、お互いの幼いころの思い出が、重なり合うということでもある。だが、ドラマのなかで、このことがはっきりと描かれるのは、もうちょっと先になってからである。

このドラマの演出でうまいなあと思ったのは……クリーニング屋の店先を妊娠した女性が歩いていて、次のシーンでは同じ女性が乳母車を押して歩いていた。これだけで、何の説明もしなくても、ほぼ半年から一年ぐらいの時間が経過したことが分かる。

地蔵盆のときのこともいい。地蔵盆で子どもと一緒に遊ぶジョーと、それを二階から見ているるい。ジョーがタコ焼きを落としてシャツを汚して、すかさずかけよるるいの姿が印象的である。また、これを見守る、クリーニング屋の夫婦の姿が、とても安心して見ていられる。かき氷、タコ焼き、ラムネ、風鈴……これらの小道具がたくみに使ってあった。

時代劇でのポスターで、モモケンと虚無蔵の名前が出てきていた。これらは、これからの京都でのドラマの展開に大きな役割をはたすことになる。

2025年1月31日記

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