『八重の桜』「やむにやまれぬ心」2025-04-14

2025年4月14日 當山日出夫

『八重の桜』「やむにやまれぬ心」

ドラマのこの段階では、八重はまだ歴史の脇役にすらなっていない。八重が歴史とむきあうのは、その後の戊辰戦争のとき、ということになる。

兄の覚馬は、会津のために行動している。佐久間象山の塾で、西洋の学問を学んでいても、その目的は会津藩の役にたつことにある。海防を幕府からまかされた会津藩のために、その知識をつかいたいと思っている。ここでは、その行動の基本にあるのは、生まれ故郷であり、自分が武士として属する会津藩への、忠誠心であり、愛郷心(パトリオティズム)ということになる。

ドラマのこの段階で、日本、ということを考えているのは、佐久間象山、勝海舟、吉田松陰、といった人物ぐらいになるだろうか。西郷吉之助は、島津斉彬のお庭方であるが、その視野のなかに日本という国のことが、まだあったということではないだろう。

八重は、父親から、鉄砲は人を殺すための道具であるということを、狩場で教わる。しかし、それでも、八重は鉄砲のことを学びつづけ、後には会津若松城の籠城戦を戦うことになる。

このドラマを見ていて(最初の放送のときも見ているが)、佐久間象山の塾にいっぱいものがおいてある場面が、とても印象に残る。実際、あんなにたくさん雑然とものがあったら、学塾としては無理だろうと思ってしまうのだが、ここは、幕末の蘭学者が、貪欲に西洋の技術や知識を吸収しようとしていた、その気概を表現するものとして、非常によく出来ていたと感じる。

2025年4月13日記

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