BS世界のドキュメンタリー「うちの敷地には強制収容所があった 〜ドイツ人家族のその後〜」2025-05-13

2025年5月13日 當山日出夫

BS世界のドキュメンタリー 「うちの敷地には強制収容所があった 〜ドイツ人家族のその後〜」

2024年、カナダ、ドイツ、イスラエルの制作。

Copilotで、ナチスのときの外務大臣は、と聞いてみて、たぶん、コンスタンティン・フォン・ノイラート男爵、のことかなと思う。番組の最後のところに、イルムガルト・フォン・ノイラートにささげるとあった。

Wikipediaで、この人物のことを見ると、ナチスに加わったと書いてあるのだが、番組のなかでは、ナチスではなかったと言っていた。さて、本当はどうなのだろうか。外務大臣を辞めて後は、ヒトラーとは距離を置いていたようではあるのだが。

たまたま、このような人物の家族であった、ということで、今にいたるまで背負わなければならない、いろんなものがある……ということは感じとることができる。ドイツにおいて、ナチスの犯罪については、時効ということを設定しないはずだし、仮に、時効と考えても、今のドイツで生きていくためには、いやでも、ナチスの時代のことを、思い出すことにはなるにちがいない。

この家族のことについて、ドイツの一般の人びとは、いったいどう思っているのだろうか、このあたりのことが気になる。

日本では、太平洋戦争、それに先立つ、日中戦争について、国家の指導的立場にあって、その責任を取る、ということは基本的になかった。東京裁判については、その正当性を疑問視する声が、いまだにつづいている。このこともあるが、近年の歴史のとらえ方として、戦前の日本と、戦後の日本を、連続的なものとして考えよう……国家の統治システムや、社会の基本的なあり方について……という方向に変わってきていることもある。このあたりのことを、総合的にどう考えるべきかというのは、かなりむずかしい問題かと思うが。

番組の内容とは関係ないことだが、ドイツの貴族は、その所有する領地のなかに、強制収容所を作ることができるぐらいの広大な土地を持っていて、おそらく、それが今にいたるまで、その子孫に相続されてきているのだろうと思うことになるが、昔のドイツの貴族であった人たちというのは、他には、どんなふうに暮らしているのだろうか。(日本だと、農地解放ということで、大地主というものは無くなってしまったということになっているし、華族制度も廃止された。)

その時代に、たまたまにせよ、国家の要職にあった人間として、その国家のゆくすえがどうなったかについては、なにがしかの責任がある……とは思うのではあるが、その子孫まで、それをひきずることはないだろう。

このような視点からの番組で日本でもし取りあげるとすると、岸信介などがまず思いうかぶところであるが、あるいは、まだ歴史的評価の定まっていない政治家ということになるのかもしれない。(その係累、子孫というような人たちは、戦時中の責任を受け継ぐなどということは、微塵も感じているふうには見えない。)

2025年5月9日記

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