BS世界のドキュメンタリー「ハルマゲドンを待ち望んで 米国政治を動かす“福音派”」2025-06-06

2025年6月6日 當山日出夫

BS世界のドキュメンタリー 「ハルマゲドンを待ち望んで 米国政治を動かす“福音派”」

ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、フィンランド、2023年の制作。

この番組を作った国の名前を見ると、私の知識としては、プロテスタントのちからがつよい国である。こういう情報は、このような番組を見るときに重要なことだと思うのだが、NHKの番組のHPでは、カットされている。

それにしても、これほどまでに、アメリカの福音派のことを悪く描かなくてもいいのにと、結果的に、番組で否定的に描かれた人びとに同情してしまう。いや、これぐらいのことは、宗教的な対立が当たり前のヨーロッパでは、たいしたことはないことなのかもしれない。それならそれで、欧米の社会における宗教対立の根深さを感じることになる。

キリスト教福音派が、アメリカの政治に影響力を持っていることは、周知のことだと私は思っている。だからといって、彼らが、すぐに世界を破滅においこむような戦争が起きることを望んでいる、と結論づけるのは、私などの感覚からすると、非常に短絡的であり、アメリカの政治はそこまで馬鹿ではないだろうと思う。

2001年以降のテロとの戦い、について、アメリカがそれを、十字軍になぞらえたことは確かである。しかし、だからといって、この世の中からイスラムの人びとを根絶さえてしまえとまで思ったわけではないだろう。

アメリカとイスラエルの結びつきは特殊なものがあることは確かであるが、一方で、アメリカにおいてユダヤ人というべき人びとは、いわゆるリベラルのなかにも多数いるはずである。福音派=共和党=イスラエル=トランプ、という図式で語りたいのだろうが、実際はもっと複雑なものがあるだろう。

こういう番組を見て思うこととしては……福音派は馬鹿であり、その陰謀にだまされてはいけない……ということを言いたいのかとも思うが、このような発想自体が、また陰謀論である。私としては、福音派を、こうまで否定的に見ることのできる人たちの方が、本当に大丈夫なのかと心配になるぐらいである。

それから、アメリカの軍隊・軍人の信仰のことが出てきていたが、これは、日本においても、自衛隊員などの信仰について、(無論、信教の自由はまもったうえで)どうあるべきかという議論がきちんとなされるべきだと、私は思う。

なお、終末思想、世界の終わりが迫っている、自分たちは何をすべきか……という考え方は人を引きつけるものがある。特に、この番組でとりあげていた福音派だけのことだけではなく、現代社会における地球環境問題、あるいは、AI開発の根底にあるものの考えかた、これらのなかにも潜んでいると感じるところがある。

2025年6月3日記

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