ダークサイドミステリー「ロシアより野望をこめて 〜史上最強のスパイ!シドニー・ライリー〜」2026-01-06

2026年1月6日 當山日出夫

ダークサイドミステリー ロシアより野望をこめて 〜史上最強のスパイ!シドニー・ライリー〜

スパイ……という枠をはみ出した人物かな、という印象がある。まあ、スパイ、といっても、いろんな諜報活動があるだろう。場合によっては、要人の暗殺というようなことまでふくめることもできるかもしれない。

この人物のことは、ロシア革命史とか、イギリスの外交史、という分野について専門的知識を持っている人なら、知っていることだろう。

日露戦争のとき、ロシア側の要塞の図面を盗んで日本に提供したということらしいが、日本側の記録としては、何か残っているのだろうか。

第一次世界大戦のころであるから、ヨーロッパ諸国において、外交というのは貴族の仕事だった時代である、といっていいだろう。外交におけるメインの言語は、フランス語だった時代である。外交は貴族のおこなうものという感覚は、日本の外交の歴史にも、なにがしかの影をおとしていることかとも思う。

レーニンの革命は、そうすんなりと成功したというわけではない。レーニンについては、その功罪は、まだ人によって評価は分かれるところかとも思う。ロシアの帝政をたおしたとして、では、その次にどういう政権を作るのか、国内の政権基盤はどうであるのか、こういうことは、ロシアに限らず、どの国における革命や政変において、つきものである。

私が見て興味深かったことの一つが、レーニンを倒す計画の中に、電話交換局の占拠、ということがあったことである。この時代であれば、ラジオの前の時代である。人びと、政府や軍などの連絡手段は、電話が重要な役割をになっていた。クーデターを起こすとして、電話交換局を占拠するというのは、今風にいえば、情報通信の手段を自分たちのものにする、ということになる。

ロシア革命の後に起こった、世界のいろんな事件において、放送局の占拠、ということは、当たり前のようにおこなわれてきたことだと思う。昔はラジオ局であり、現代ではテレビ局になる。これらを支配下におくことで、情報戦として優位にたてる。

だが、これも、現代のインターネットの時代になって、情報通信の占拠、把握、独占、ということは難しくなった。完全にネットを遮断して破壊してしまったら、社会がパニックになってしまって、クーデターどころではないかもしれない。

それよりも、テレビとか、もうオールドメディアとして、信頼されない時代になってしまってきたので、おそらく、あまり意味のないことかもしれないと、思ったりもする。

ライリーの時代だったから、別人になりすますことも容易だったというべきだが、現代だと、顔認証など、生体認証の技術が発達しているので、そう簡単に別の人間になりすますことはできないかとも思う。

歴史のもしも、であるが、このライリーのような人物がいなかったら、世界の歴史は、ちょっと変わったものになっていただろうか。少なくとも、ロシア革命のなりゆきは違ったものになって、レーニンのソ連は誕生しなかったかもしれない。

2025年12月28日記

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