日曜美術館「ジャポニスム 西洋を変えた“美の波”」2025-07-17

2025年7月17日 當山日出夫

日曜美術館 ジャポニスム 西洋を変えた“美の波”

目についたので録画しておいた。

天邪鬼な性格なのかと思うが、いろいろと思うことがある。

ゴッホは、貧乏だったと思っている。生前に絵はまったく売れなかったはずである。その貧乏のゴッホが、浮世絵のコレクションを持っていたということは、貧乏画家であっても買える値段で、フランスでは流通していた、ということになるのだろう。日本での価格は、蕎麦の一杯ぐらい、とよく言われる。安価な商品を極東の日本から、はるばるヨーロッパまで運んで、ビジネスになったというのは、いったいいくらぐらいで仕入れて、いくらぐらいで売っていたのだろうか。浮世絵は、かさばらないし軽い。輸送は楽なはずだが、はたして、その値段はいくらだったのか。

番組のなかでは、意図的にそうなのだろうと思うが、春画についてはまったく触れていなかった。しかし、日本から大量の浮世絵が出ていった中には、当然ながら春画もふくまれていたはずである。これらは、ヨーロッパの画家たちに、影響を与えたのだろうか、あるいは、与えることはなかったのだろうか。(もう、現在では、浮世絵を考えるときに、春画をふくめて考えるのは常識だろうと、私は思っている。)

ジャポニスムというテーマの番組だからしかたのないことなのだが、日本では、浮世絵はゴミあつかいであった。名だたる歌麿や写楽であっても、その時代に、一時的に人気はあったが、それが持続することはなかった。日本で、この時代、絵画として人間の内面を表現するということは、まだ無理だったということになるのだろうか。近代になって、西洋の近代の芸術(絵画や文学など)を日本が取り入れるなかで、浮世絵が再発見されていったということだと思っているのだが、私としては、このプロセスの方に、非常に興味がある。人間の美意識とは、時代とともに変化していくものなのだ、ということを端的に表している事例になると思うからである。

2025年7月16日記

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