知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?「巨大噴火が“日本人”を生んだ!?」2026-01-16

2026年1月16日 當山日出夫

知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!? 巨大噴火が“日本人”を生んだ!?

録画しておいて見たのだが、見て思ったことなど書く気になれないでいたのだが、しかし、整理のためにとりあえず書いてみる。NHKは、こんな低レベルの番組をよく作ったものだというのが、まずは思うことである。

日本人がいつから日本列島に住んでいるのか。いつの時代から日本人といっていいのか。まさに、こういう問題は、今の時代においては、根本的に考えるべきことなのだが、それをまったく考えたとは思えない。

だからといって、日本人という概念が無意味というのではない。どの時代の、どのような人びとについて、どのような規準で考えるのが妥当なのか、それは、様々にバリエーションがあり、一義的に定義できるものではない。現代の日本においても、日本人ということばは、さまざまに微妙に異なる定義が可能である。汎歴史的、汎地域的に、日本人ということがいえるということではない。

日本に旧石器時代があったことは、石器捏造事件のことがあったとしても、その後の検証で、ほぼ確実といっていいことになっているだろう。では、話しを縄文時代から始めたのは何故か。そして、その後の弥生時代以降との連続性ということで、同じ人間の子孫が日本列島に住み続けてきたということが、どの程度の学問的正確さとして言えるのか。

縄文時代の人びととのDNAの共通性ということであるのだろうが、それをいうならば、東アジアにおける日本列島をふくむ広い範囲での、人類の移動と文化の歴史の全体像の中で考えるべきことになる。これがなしに、ただ、日本列島に住んでいたというだけのことで、日本人とするのは、どう見ても問題がある。

人種ということばは最近では使わなくなっているが、縄文時代からの人種的な連続性ということが、どこまでいえるのか、そして、それは、他の周辺の地域……その中には、北海道のアイヌの人びととか、琉球の人びとをふくむ、そして、朝鮮半島は無論のこと、東アジアのいろんな地域の人びと、これらの関係はどうなっているのか。その輪郭ぐらいは明らかになっているかと思うのだが、こういうことにまったく触れないというのは、問題がある。

鬼海カルデラの火山の大規模噴火に見られるように、日本列島は、火山災害、地震災害の多い地域である。このような地域に居住するから、こういう人びとの考え方になった……一種の環境決定論になるのだが……その地域の自然環境と、歴史や文化ということとは、もっと慎重に考えるべきことである。少なくとも、『風土』(和辻哲郎)を批判的に検証するぐらいのことは、必要である。

日本人というカテゴリを認めるとして、その遺伝子が特徴がある。これは、そのとおりかもしれないが、その遺伝子があることと、個々人がどのような人間であるかということ、また、文化や社会がどのようであるか、こういうことを短絡的に結びつけることは、危険だろう。こういうことの延長には、優秀なアーリア人種、というような考え方に繋がるものであるぐらいのことは、容易に想像できる。そうではなく、ただ、確率的にそのような性格である傾向が強いというぐらいであるとしても、遺伝子と人間社会のあり方とを、どう関連付けるかは、現代ではきわめて問題であるべきとしなければならない。

日本人とひとくくりにするのではなく、日本列島に住んできた人びとの、時代による違い、地域差や、社会的階層による違い……こういうことが、歴史学、民俗学、人類学、考古学、などの研究成果として分かってきていることだと思うが、こういうことへの配慮がまったくない。

自然環境や、遺伝子から、日本人はこうである、ということは、一見すると分かりやすい科学的な説明のように見えるが、絶対にそんなことはないというのが、むしろ科学の知見を尊重するということであるはずである。科学的に、学問的に考えるということを、あまく見てはいけない。その悪い見本のような内容の番組だった。

2026年1月14日記

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