ドキュメント72時間「岩手 豪雪地帯のスーパーで」2025-02-27

2025年2月27日 當山日出夫

ドキュメント72時間 岩手 豪雪地帯のスーパーで

天邪鬼な見方かとも思うのだが、岩手の豪雪地帯であっても、人びとがたくましく生きていく様子を、かなり意図的に描いていたという感じはする。普通に見れば、過疎高齢化の地域であり、最近のことばでいえば、消滅可能自治体、ということになるのかもしれない。

だが、このようなところであっても、仕事をする人がいて、都会から戻ってきている人がいて、若い人もいる。お年寄りも住んでいるが、助け合って暮らしている。どうしても、こういうふうに作ることになるのだろう。

視点を変えれば、過疎高齢化の豪雪地帯として、悲観的に見ることもできるだろうが。(西和賀町は、消滅可能自治体にふくまれている。)

見ていてまず驚いたのが、店内で軍艦マーチを流していたことだった。今時、この曲を店内で流す店があるのかと思ったのが、正直なところである。

山の中にある店なのだが、海産物が豊富である。これは、何か理由があってのことなのだろうか。地域の食文化というようなことから、ちょっと気になったことでもある。

町に一軒のスーパーということだが、この町に通じる道路の維持管理ということは、何よりも最重要課題ということになるだろう。

この番組を収録したのは、昨年末である。今年の冬は雪が多い。この地域も、たくさん雪がつもったことだろうと思うのだが、番組の中に出てきた人たちは、無事に生活しているのだろうか。見終わって、やはり気になったことである。

2025年2月23日記

『坂の上の雲』「敵艦見ゆ(後編)」2025-02-27

2025年2月27日 當山日出夫

『坂の上の雲』 敵艦見ゆ(後編)

この回は、奉天会戦の勝利と、日本海海戦の始まり。

奉天会戦で、クロパトキンがなぜ退却したのか、軍事史としてはどのように考えられているのだろうか。ドラマのなかでは、日本軍の勢力を過大評価した(誤った)ということだった。

秋山の部隊が北方の鉄道を破壊しようとしている、これを破壊されたら補給路が断たれるので、退却をいそいだ……ドラマではこう描いていたのだが、もし、そうなら、日本軍としては、敵のロシア軍の兵站を断つ戦略で、もっとはやくから作戦をたてていてもよかったようだが、そうではない。この作戦は、現場での児玉源太郎の発案になる、ということだった。

奉天会戦の戦闘シーンでも、敵の陣地に銃剣をつけた小銃を持って突撃するというのは、まあ、実際にそうだったとしても、かなり無謀であると思ってしまう。少なくとも敵が、機関銃で掃射してくるのに対して、なすすべをしらない。だが、なんとかたどり着いて、機関銃陣地を爆弾で破壊することはできたようなのだが。(この時代には、手榴弾は開発されていなかったのかなと思うが。)

確かに歩兵が銃剣をつけて突撃する、白兵戦というのは、映像として絵になる場面であるとは思うのだが、実際はどうだったのだろうかという気もしている。(ただ、これも、現在の、ウクライナの戦争でも最前線の戦いは、突撃歩兵による自動小銃の撃ち合い、ということのようだから、戦争の実際というのは、基本的には変わらないものかもしれないが。)

日本海海戦であるが、何回見ても分からないのが、秋山真之はいったい何をしたのだろうかということ。バルチック艦隊が対馬には来ないかもしれないというので、津軽に移動することを言っていたのは、どう考えても、ミスである。結果としてはということになるが、バルチック艦隊は、対馬ルートで来ると確信して待ち続けた、東郷平八郎の判断が正しかったことになる。

また、いわゆる丁字戦法についても、これは、(ドラマの中で描いていた限りということではあるが)秋山真之が発案したものではない。東郷平八郎の判断であったことになる。

このドラマで描いたこととしては、司令官のうつわであったのは、東郷平八郎であり、それに任せた山本権兵衛であったことになる。また、陸軍では、児玉源太郎、大山巌が、軍の全体の指揮官としてふさわしい。

ところで、バルチック艦隊を発見した、信濃丸からの打電は、暗号化してあったものなのだろうか。この時代、無線通信が実用的に利用され始めたころで、モールス信号による通信だったことになるが、暗号の軍事的利用ということからは、日露戦争はどうなのだろうか。

信濃丸の無線を、敵が傍受すれば、発見されたことが知られることになる。それでよかったのか、あるいは、無線を傍受してその発信地点を特定することは、まだできなかったのか。このあたりの、技術的な解説がほしいと思うところでもある。

この時代の海戦は、敵艦との距離を測るのは、測距儀によることになる。無論、まだレーダーなど発明されていない。後に、戦艦大和の時代になって、電探が搭載されることになるが。この測距儀の精度というのは、どれぐらいのものなのだろうか。そして、艦隊同士の撃ち合いとなった場合の命中率は、どの程度であったのか。(結果としては、日本海海戦で、連合艦隊は高い命中率であったことになるが、それは何故かということも、本当は重要な教訓となるべきことであった。)

結果として日本海海戦は、連合艦隊の勝利になるが、どこまでが武器の性能で、どこまでが訓練の結果で、どこまでが作戦の勝利なのか、このあたりが、最後まで曖昧なままで終わることになる。少なくとも、このドラマや、司馬遼太郎の『坂の上の雲』では、そうである。

このドラマは、ドラマとしては面白いとは思って見ているのだが、戦争を描いたドラマとしては、いささか不満に思うところがないではない。

2025年2月26日記

ザ・バックヤード「国土地理院」2025-02-27

2025年2月27日 當山日出夫

ザ・バックヤード 国土地理院

現代の地図の作り方は、なるほどそういう技術によっているのかと思う。これはこれで、非常に興味深いものだった。

番組のなかで言っていなかったこととして、思ったことを書いてみる。

国土地理院というと、地形図を作っているところ、というのが若いころからのイメージである。ただ、最近では、地形図……昔は、五万分の一、二万五千分の一がメインだったが……も、売れないらしいということをニュースで見たのだが、今はどうなっているのだろうか。たしかに、デジタル地図の便利さに慣れてしまうと、紙の地図を広げようというきにはならないかもしれない。しかし、災害時などで、電源が無くても使える紙の地図の重要性ということは無くならないだろう。

中学生になったとき、担任の先生がたまたま地理が専門の先生だったので、一番最初に習ったのは、地形図の折り方である。これは、今でも憶えている。それから、京都市内で地形図を売っている店の所在を教えてもらった。(そのうちのひとつ、東本願寺の北側にあった小林地図専門店は今はもうなくなっている。)

国土地理院が、昔の陸地測量部であるとは言っていたが、それが、陸軍参謀本部の仕事であったことは言っていなかった。これは、フェアではないと思う。かつて、日本の地形の測量、地図の作成は、軍事的に重要なミッションであった。一般に販売された参謀本部の地図に空白の部分があった……軍事的に重要な箇所である……ことも、重要かと思う。伊能図が出てきていたが、これをめぐってシーボルト事件があったのは、まさに日本の海岸線を描いた正確な地図は、国防上の重要機密であったからに他ならないだろう。ちなみに、泉鏡花の『高野聖』の冒頭は「参謀本部の地図~~」で始まる。それから、太宰治の『津軽』にも参謀本部の地図のことは出てきたかと憶えている。

また、広くカーナビなどに使われているGPSは、もともとはアメリカの軍事技術を民生利用に使っているものである。

番組の時間の都合なのかと思うが、昔の地図の作り方、まず、全国に三角点を置いて、というあたりの話しも、詳しく知りたいところであるが、まったくふれることがなかった。

伊能図がどのような技術で作ったものなのかも興味がある。基本的には、コンパスと歩数による距離測定、であったはずだが。そこで使われた数学は、現代から見てどの程度の水準のものだったのか、専門家の意見が聞きたいものである。

それから、私の知る限りだと、全国でいろいろと撮影された航空写真は、奈良文化財研究所に集めて保管する、データベース化するということがあったと憶えているのだが、これは今はどうなっているのだろう。また、国土地理院で地図作成に使った画像データの保存も、将来的には重要な意味があるにちがいない。

2025年2月21日記