ダークサイドミステリー「ブランチ・ダビディアン事件の悲劇 〜武装教団vs.警察 運命の51日間〜」2025-06-21

2025年6月21日 當山日出夫

ダークサイドミステリー ブランチ・ダビディアン事件の悲劇 〜武装教団vs.警察 運命の51日間〜

再放送である。最初は、2023年9月7日。

この事件のときのことは、覚えていない。大きな事件だから、ニュースにはなったと思うのだが。

ATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)組織のことを初めて知った。かなり古くからある組織で、その経緯としては、禁酒法時代のアメリカということもあるらしい。

見ていて思うことは、何よりも、事件の対応にあたった組織がバラバラで、統一された指揮系統のもとで、方針を決めて動くということがなかったこと、その愚かさということになる。まず、ATFが対応にあたり、その後、FBIが出てきて、そのFBIにおいても、相手と交渉する部門と、強行に突入して制圧する部門とがあり、それぞれの連携がうまくいっていなかった。

これが、今だったら、どう対応することになるだろうか。

交渉によって解決の道をさぐるか、強行に制圧するか、両方の道を用意しておくとしても、そのどちらで、具体的にどう対応するかは、トップが責任を持って統一的に判断する、ということにはなるだろう。

テロリストとは交渉しない……これは、今の世界の常識だと思う。私が、このことを強く意識するようになったのは、1996年のペルーの日本大使館人質事件のときである。このとき、犯人と交渉することを優先する人たちと、政治と軍事のリアルで語る人たちと、議論が二分されていた。

相手の要求がはっきりしている場合には、交渉ということもありうることになるが、しかし、この事件の場合は、相手はカルト教団である。相手のいうことを聞いても、神様を持ち出して、ゴールポストを動かされる懸念がある。

それにしても、ボタンの掛け違いというか、最初のつまづきが後々の惨事をまねくことになったことは確かであろう。

この事件への当局の対応も問題があったことになるが、それよりも興味深いのは、アメリカにおいて、聖書を文字通り信じる人びとがいて、この世の最後があることを考えている……アメリカが宗教的に古風で頑迷なところがあることは、今では、知られていることであるが、それがカルト教団として、人びとを引きつけていることもある。現代のアメリカ社会の、このような面を改めて確認したということにもなる。

また、その気になれば、武器弾薬を大量に確保できるのも、アメリカならではのことである。

解説のなかで面白いと思ったのは、カルト教団といっても、強固なルールでメンバーが出ていくことを禁ずるよりも、自由に残りたい人が残るという組織の方が、強く生きのこることになる。外部から攻撃され否定されたときの、認知的不協和の低減ということに専門的にはなるらしいが、なるほどそういうものかと思う。

この事件も現代だったら、ソーシャルメディアでいろいろと議論されるところだろうし、教団の建物の中からの実況ということもあるだろう。新しいメディアの時代における、このような事件への対応は、さらに難しくなっているかとも思う。

2025年6月13日記

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