サイエンスZERO「記憶力アップも夢じゃない! 記憶の正体は“謎のコブ”?」2025-10-17

2025年10月17日 當山日出夫

サイエンスZERO 記憶力アップも夢じゃない! 記憶の正体は“謎のコブ”?

脳が、何か記憶するということを、コブとして映像でとらえることができるようになったというのは、こういう研究ができる時代になっているのか、という思いで見ていた。

だが、これ以上のことは、まだ分からないことだらけのようである。記憶については、なんとかいくつかの仮説を提示することができるか、という段階のようである。

昨日、食べたご飯が何だったか、憶えているということはあまりない。たぶん、憶えておく必要がないと判断したことは、選択的に記憶したり、しなかったり、ということがあるのだろうということは、経験的に分かる。例えば、旅行で、ホテルに泊まったりするとき、宿泊している間の期間は、自分の部屋の番号を覚えているのだが、チェックアウトして外に出た瞬間に、もう忘れてしまっている。こういうことは、選択的に、憶えておく必要のあるものと、忘れてしまうこと、これらを、無意識にうちに選択しているということかと思うのだが、どういうメカニズムなのだろうか。

年をとってきたせいだろう、昔の若いときのことは思い出せても、最近のことは、忘れることが多くなってきている。

また、人間の記憶はウソをつく。事実ではないことを、あたかもそうであったかのように記憶している、ということもある。記憶ということは、おおきな謎に満ちた研究の分野であるのだろう。

2025年10月13日記

ETV特集「消えゆく故郷 〜ドンバス 電気工たちの戦争〜」2025-10-17

2025年10月17日 當山日出夫

ETV特集 消えゆく故郷 〜ドンバス 電気工たちの戦争〜

ウクライナの戦争において、社会の重要なインフラである、電気を守る人たちの物語、として作ったことになる。そこで映し出されているのは、戦禍のなかにあって、仕事にはげむ男性の姿であり、故郷に対する思いであり、家族のきもちであり、ということになる。

こういうことを描くのに、まったく異論はないのだが、ちょっと視点を変えて見ると、どうだろうか。

ウクライナの戦争で、ロシアの悪逆を放送で見ることは多い。しかし、ロシアとしては、ドンバス地方は、もともとロシア系の住民が多い地域で、親ロシア的であったということが、あったはずである。これが、ウクライナとロシアが仲よくできている間は、問題がなかったが、ウクライナがヨーロッパ(EUやNATO)に近づいていくことになると、ロシアとしては、面白くない。

武力で国境線を変えて、自国の領土にしてしまう、というのは、今の国際社会において暴挙以外のなにものでもない。

その一方で、その地域に住む人びとの帰属意識は、また、別に考えることになるかとも思う。この番組の中では、ウクライナの国民としての帰属意識が強く語られていたのだが、ロシアに親しみをいだく人びとも多いのだろう。ただ、それが、ロシアから出る情報になると、それは、ロシアのプロパガンダである、と言ってしまうことになるが、はたしてそれだけでいいだろうかという気がする。

ドンバス地方からキーウに避難した家族が、第一言語がロシア語であって、キーウで人とあまり話さなくなった、と言っていた。言語というのは、「民族」や「国民」にとって重要な要素である。少なくとも、ウクライナ語が、ウクライナの基盤であるとは、必ずしもいえないのかとも思うが、どうなのだろうか。

私の記憶だと、戦争が始まる前まで、ウクライナ語というのは、独立した一つの言語である、という認識は、日本では普通ではなかった。

結果的にではあるが、ロシアがウクライナと戦争を始めたことによって、ウクライナという国家や国民を形成することになった、ということはいえるかと思う。これと同時に、ロシア国民の形成にもなっているにちがいない。(もちろん、このような帰属意識にふくまれない人びとの感覚もあるにはちがいないが。)

ロシア領土であれ、ウクライナ領土であれ、そこで生まれ、生活した人々にとって、そこが故郷であり、戦禍によって、故郷を離れざるをえないというのは、悲劇である。

ロシア周辺の国家、旧ソ連内国家、これらの地域における、むろんロシアをふくめて、ナショナリズムの問題は、これからの国際社会の中でおおきな課題になるかと思える。ナショナリズムというと、悪魔の思想としてしか語ることのできない人たちもいるので、これからどういう議論になるかとは思うが。

ところで、ウクライナの電柱は、どうして四角なのだろうか。日本の電柱は、たいてい円いのだが。

私としては、(ウクライナだけではなく)ロシアに住む、普通の人びとの生活の感覚がどんなものなのか、ということが気になるところである。今のところは、取材が難しいのかとも思うし、タテマエとしてウクライナよりの立場をとることになる、NHKとしても難しいとは思うのだけれど。

2025年10月15日記

100カメ「羽田空港 空飛ぶ翼を守るプロたち」2025-10-17

2025年10月17日 當山日出夫

100カメ 「羽田空港 空飛ぶ翼を守るプロたち」

これは面白かった。これまで、100カメは、ほとんど見てきているはずだが、そのなかでも最も面白い中にはいるだろう。

飛行機に荷物を積むのは、まるで倉庫番(もう、知らない人もいるかもしれないが)である。いや、倉庫番以上に難解である。そして、登場キャンセルになった乗客の荷物を、探して取り出さなければならないというのは、これは、大変である。(こういうのを見ると、飛行機に乗ることがあっても、絶対に搭乗に遅れないようにしないといけないと、強く思うことになる。)

パイロットが、操縦できる飛行機の種類が一種類であり、また、離着陸できる空港も資格がないとできない。こういうことがあって、不測の事態のために、予備で待機するパイロットのやりくりをしなければならない、というのは、非常に厳しいだろう。

飛行機の定時運航というのは、今の時代では、当たり前のことのように感じられることの一つになっている。しかし、これを支えるためには、裏で、どのような仕事があって、それを、全体としてどう統括しているのか、とても興味深い。それから、ただ、仕事のシフトを回せばいいということではなく、その仕事につく人間の気持ちも考えなければならない、ということは、そのとおりだと思う。だが、世の中、ここまで考えて仕事のことを思っている人は少ないかもしれない。

滑走路の異物(鳥の死骸など)を探すのに目視でということだったが、こういうことに、AI技術など使えないのかと思ったりもするが、しかし、やはり、最終的には、人間の目視による確認が必要になることだろう。これ以外にも、自動化したりできることはたくさんあっても、飛行機の安全な運航を支えているのは、最終的には、人間の判断によっているということが、よく理解される。

2025年10月14日記