『ARG』747号の長神風二さんの文章(転載)2011-04-18

2011-04-18 當山日出夫

以下の文章は、出典明記の上で、転載してかまわないということなので、ここに転載させていただく。

『ARG』747号に掲載の、長神風二さんの文章である。(なお、改行などは、このブログの体裁にあわせるために、若干の変更がある。)

===================================
 ◆ 羅針盤 ◆ - Science, Internet, Computer and ...
===================================

  「ARG読者の皆様へ-震災被災地の一部・仙台からの提案
     今、アカデミア・図書館の方に考え、行動して頂きたいこと」

               長神風二(サイエンスコミュニケーター)

仙台のサイエンスコミュニケーター、長神風二(ながみ・ふうじ)です。先の大震災、大変多くの方に災厄をもたらしました。犠牲になられた方には心からお悔やみ申し上げます。そして、何より、一万四千人を超える(4/11現在)方が今なお安否不明でいらっしゃることに慄然とし、一人でも多くの方が早く見つかることを願ってやみません。

この事態に、たくさんの心ある方々が、自分に何かできないか、を考えてくださっています。有難うございます。何か、現地に行って、瓦礫を運ばないと、と思われる前に、非被災地だからこそできること、仙台から提案します。

1)アカデミアで発生するリモートでできる
      細かい発注仕事を宮城・福島・岩手に

大震災は、一部で業務を激減させています。倒産と失業の増加は更なる犠牲者を生みかねません。非被災地で、無駄な自粛などなさらないこともそうですが、更に一歩進めて(ほかの地域も大変だとは思いますが)、一部の業務を東北各地に回してくださいませんか?

たとえば、

・(デザインがあがった後の)チラシ印刷
・招待状等発送事務
・テープ起こし

ウェブでいくらでも適正価格の事業者を見つけることができると思います。印刷は、今、慢性化しつつある紙不足がありますが、普通のコート紙などなら。オフセット印刷も、震災を超えて、動き出しています。

もちろん、デザイン含めた仕事なども発注可能です。打合せも、電話と電子メールでほとんどのことは可能でしょう。

新規の債主登録等、面倒はあるかと思いますが、この際、今までいつも頼んでいたところが何らかの事情で使えなかった際の保険を確保する意味もこめて、いかがでしょうか?

もちろん、ウェブ関係の仕事などもあり得るでしょう。

*当方にご連絡頂ければ、仙台の事業者であれば、紹介も可能です。

2)延期になった小規模の会議、東北開催をご検討ください

3月半ばから4月にかけて、あらゆるものが、延期・中止になりました。こうしたものの一部、いかがでしょう、仙台開催、あるいは、福島開催。または、会津若松開催など。

折しも、4月末くらいをメドに、東北新幹線が再開する予定です。また、一時休業していたホテル等も、再開し始めていますし、今は工事関係者で満杯のところも、5月以降は目に見えて、空き始めるはずです。

ぜひ、いらしてください。そして、ご自身の目で、我々の現状をご覧ください。最高の海の幸で皆様をおもてなしできるのは、哀しいことにもう少し先かも知れませんが、東北の美しい遅い春がお出迎えできます。

*当方にご連絡頂ければ、仙台の開催であれば、会場手配等のお手伝いも可能です。

3)被災地の新聞をお近くの図書館に

今、沢山の人々が、お住まいの地域から難を逃れて遠方にいます。一番遠い、沖縄県にも数十世帯が行ったそうです。彼らは、遠く離れたしまった地の情報から隔絶されてしまいます。

福島・宮城・岩手の地元の新聞を、皆様の一番近くの図書館に、今すぐ1ヶ月だけでもご購読いただくようにご提案ください。公共図書館はすぐには予算は動かせないかも知れません。あんまり難しく考えることなく、皆様個人で、どうか1ヶ月、郵送購読を申し込んでみてください。その上で、図書館にご寄附をお申し出ください。きっと、快く受け入れてくれると思います。たかだか数千円とちょっとの手間です。図書館にお勤めの方は、是非、ご提案ください。

お勧めは、

・河北新報、三陸新報、石巻日日新聞、福島民報、福島民友、岩手日報

・河北新報
http://www.kahoku.co.jp/
・三陸新報
http://www.sanrikushimpo.co.jp/
・石巻日日新聞
http://www.hibishinbun.com/
・福島民報
http://www.minpo.jp/
・福島民友
http://www.minyu-net.com/
・岩手日報
http://www.iwate-np.co.jp/

など。

こちらは、広域避難者への情報支援につながるだけではありません。皆様の周囲の、甚大被災地域への理解促進にもつながり、また、被災地域の産業支援にもつながります。

試みに私個人で、河北新報と福島民報を、数家族が身を寄せているという宮古島に送ってみました。現地からも反響を頂いています。

参照(宮古島毎日新聞):
http://www.miyakomainichi.com/2011/04/17217/

ほか、数紙に取り上げられています。

上記、決して非常に難しいことではないと思います。ほかに色々なアイディアもあるでしょう。身近にある簡単なこと、どうか始めてみてください。

長神風二 f-nagami[at]med.tohoku.ac.jp
放射線ポスターもつくってみました
http://www2.atword.jp/science/2011/04/06/

・A Science Communicator’s Diary
 http://www2.atword.jp/science/


Copyright (C) NAGAMI Fuji All Rights Reserved.
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[編集部注]

本記事は出典を明記の上、自由に転送いただいて構いません。

出典:
ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)474号(2011-04-12)
http://www.arg.ne.jp/

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』470・471号の感想2011-03-24

2011-03-24 當山日出夫

花粉症で体調がすぐれないところにきて、震災である。TVを見ていても気が滅入るばかり、ほとんど何もできない状態でいたが、まあ、とにかくがんばってと思う。そろろそ、新年度もはじまるし。

で、『ARG』の感想。今回は、簡単に、孫引きだけさせていただく。情報の発信の確認という意味もあって。

震災関係で、たちあがっているサイトして、470号で紹介されているが以下のとおり。


・savelibrary @ ウィキ - 東日本大地震による図書館の被災情報・救援情報
http://www45.atwiki.jp/savelibrary/
http://twitter.com/#!/search?q=%23jishinlib

・savemuseum @ ウィキ - 東日本大地震によるミュージアムの被災情報・ 救援情報
http://www45.atwiki.jp/savemuseum/
http://twitter.com/#!/search?q=%23jishinmuse

・savearchives @ ウィキ - 東日本大地震によるアーカイブズ関連施設の被災情報・救援情報をごらんください
http://www47.atwiki.jp/savearchives/
http://twitter.com/#!/search?q=%23jishinarchives

それぞれ、MLAごとに区分した構成になっている。今後は、MLA連携のもとに、これらが相互に関連していくことが重要になるだろう。

それから、『ARG』には掲載されていないが、美術館関係では、

全国美術館会議のホームページ
http://www.zenbi.jp/

において、各種美術館の情報をとりまとめる動きがある。これは、JADS(アート・ドキュメンテーション学会)のブログ版の方に掲載してある。

http://d.hatena.ne.jp/JADS/20110314/1300075729

そして、最新の『471』号では、各種の学術サイトの移転情報が一覧になっている。これは便利。幸い、JADS(アート・ドキュメンテーション学会)は、かなり以前にNIIから離れて独自にHPを運用していたので、今回の震災の影響はうけていない。

當山日出夫(とうやまひでお)

2011-03-24 追記
URLをコピーしてみたが、リンクがつながらない箇所があるので、一部、リンクを解除しました。JADSの方については、大丈夫です。

『ARG』469号の感想2011-03-10

2011-03-10 當山日出夫

『ARG』469号について、すこし。

今回の号では、早稲田大学演劇博物館のデータベースのことが紹介されている。

『水滸記』抄本データベース
浄瑠璃本画像データベース
能楽タイムズ上演データベース

これらの紹介のなかで、ARGの指摘として、たとえば、このようにある。

>>>>>

非常に有用なデータベースだが、データが表示される詳細画面がパーマリンク
を持っていないことは残念。改善を望みたい。

<<<<<

これには同感である。学術的な資料である。であるからには、直接、その箇所を参照できないと、価値がない。簡単に言えば、「引用」したときの、所在情報がないと困るのである。

今回の号は、他にもいろいろ紹介してあるし、おもしろい内容になっているのだが、ここまでに。(花粉症のシーズンで、どうにもならない。)

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』468号の感想2011-03-01

2011-03-01 當山日出夫

『ARG』468号の感想である。

今回、目につくのは、インターンの書いた記事。

・「宮古島へ行ってきました。」有本よしの
・「京都国際マンガミュージアムに行ってきました」平山陽菜

と、ここまで書いたところで、気づいた。リンクがまちがっている。

宮古島の方、

続きは、

http://www.arg.ne.jp/node/6984

でご覧ください。

とあるのは、

http://www.arg.ne.jp/node/6987

であるべきもの。書いてあるリンクだと、京都国際マンガミュージアムの方につながってしまう。(う~ん、ここでインターンの責任であるとは書くつもりはないが、まあ、事実こうなっているということで書いておく。)

個人的な感想をいえば、まず、宮古島の方は、いけなかったが、Ustreamでの中継は、可能な限り見ていた。そこで感じたことととしては、米国占領下における文化政策として、その記録をきちんと保存しておくべきことの価値である。現地の人にとっては、もう忘れてしまいたいことなのかもしれないが、しかし、ここは冷徹なアーカイブズの感覚が必要になるだろう。将来にとって、資料(史料)を残すことの意義を、現在の我々の責務と考えねばならないと、思う次第である。

それから、京都のマンガミュージアム。ここは、数年前に、アート・ドキュメンテーション学会の年次大会で会場につかったので、覚えている。昔の、京都の小学校を再利用している。だから、ミュージアムとしての運営も、京都精華大学と、地元との共同の上になりたっている。また、その建物それ自体も、昔の京都の小学校を残しているので、とても興味深い。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』466図書館とアーカイブズ2011-02-16

2011-02-16 當山日出夫

『ARG』の466号でとりあげられている、越後佐渡デジタルライブラリー、について。『ARG』では、この点について、特に言及してあることではないが、気になったので、追加。

http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/Archives/

このサイトは、

新潟県立図書館
http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/

新潟県立文書館
http://www.archives.pref.niigata.jp/

この両方の施設で共同しての仕事になっている。そして、両方のサイトから、入り口が設定してある。

つまり、MLA連携における、L(図書館)と、A(アーカイブズ)の連携の、非常によい事例となる。ただ、探してみると、新潟には、県立の歴史博物館などがある。これとは、リンクしていないようだ。今後、M(博物館)との連携も進むことに期待したい。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』466号の感想2011-02-15

2011-02-15 當山日出夫

『ARG』466号を読んでの感想など、いささか。

今回の号で、おおきくとりあげられているのは、法政大学大原社会問題研究所の一連の仕事。

法政大学大原社会問題研究所
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/

高野房太郎日記などが今回は紹介されている。ここは、資料のWEB公開に非常に積極的なところ。機会があれば、学生に紹介したいのであるが、文学部の普通の学生には、ちょっと難しい。(これを紹介する以前に、私自身が、かなり勉強しておかないといけない。)

それから、越後佐渡デジタルライブラリーの件。

http://www.pref-lib.niigata.niigata.jp/Archives/

これは、学生に紹介できるかなと思う。歴史・地理・文化など多方面にわたって、総合的に構築してある。ある地域について調べようとおもったとき、まず、その地域の「アーカイブズ」を見る……日本も、このようになってほしいものである。このサイトなど、地域アーカイブズとして、非常によくできていると思う。

地域資料とは何か、アーカイブズとは何か、そして、それをWEBを通じて発信することの意味はどこにあるのか、考えるいいきっかけになるものと思う。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』465号の感想2011-02-10

2011-02-10 當山日出夫

『ARG』465号の感想をすこし。

まずは、人文情報学研究所の紹介記事だろう(私にとっては)。やっと、『ARG』に掲載されたか、という感じである。

人文情報学研究所
http://www.dhii.jp/

ここも、まだできたばかりといっていいところであるが、しかし、これからの日本の人文情報学の中核を担っていくものであろうと、私は思って期待している。是非とも、永崎さんには頑張ってもらいたいものである。

そう内容が多いというわけではないが、

Digital Humanities notes in Japan
http://www.dhii.jp/nagasaki/blog/

には、

Digital Humanities Events

として、グーグルカレンダーをつかった、各種の人文情報学のイベント情報があつまっている。これと、ARGのイベントカレンダーをあわせてみれば、主な人文情報学にかかわる行事が、把握できるだろう。より一層の充実に期待したところである。

他にも書きたいことはあるが、まずは、人文情報学研究所の件について。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』464号の感想(2)2011-02-03

2011-02-03 當山日出夫

『ARG』の感想のつづきである。

図書館のブクログの利用。これは、小規模の大学ならではの試みかもしれない。大規模な、総合大学では、かえってわけがわからなくなるかも……だが、単科大学ぐらいの規模であれば、学生の勉学の手助けになる、いいアイデアではないだだろうか。

佐賀大学地域学歴史文化研究センターの肥前千葉氏発給文書目録を公開

これは、「目録」の公開にとどまるのは、いたしかかたないかとも、思う。たぶん、利用者は、一部の専門家に限られるだろうから、きちんとした目録があれば、それでいいのかもしれない。しかし、一部については、画像データもあると、それなりに、研究・教育目的でつかえるだろう。

それから、東北大学の「東北大学史料館蔵 個人・関連団体文書目録(東北大学関係)」の件。まずは、東北大学に、「史料館」があることに、着目すべきだろう。そして、そのうえで、大学としての、
・行政文書アーカイブズ
・研究アーカイブズ
の両方が、今後、どのように構築されていくか、気になるところである。

研究アーカイブズは、同じ東北大学の、東北大学研究シーズ集、とも連携するものなのであろうか。(できれば、将来的には、現在の研究についての情報発信と、そのアーカイブズに、つなげてほしいものである。)

これなど学生に教えておきたいと思うのは、やはり、

外務省外交史料館、沖縄返還交渉、日米安全保障条約改定交渉関係目録を公開

である。

国立公文書館や、アジア歴資料センター、それに、外交史料館などの、インターネットでの情報公開は、公的なデジタルアーカイブの基本をなすものとして、教室でとりあげてみたい気がする。(ただ、次年度の授業がどうなるか、まだ、あんまり考えていないのではあるが。)

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』464号の感想2011-02-02

2011-02-02 當山日出夫

『ARG』464号の感想である。

まずは、としょかん千三百観音プロジェクト、について。

なによりも、図書館というものが身近な存在になること、このことにつきるのだろうと思う。学術的な調べ物をするためにのみ、図書館はあるのではない。

とはいっても、図書館は、なんでも屋でもないし、よろづ相談所でもない。そこには、おのづから、図書館としての「節度」というものがあるであろう。このような目で見てであるが、まず何よりも、図書館のハードルを下げること、これが重要になってくる。

この意味では、「としょかん千三百観音プロジェクト」は、成功であったといえるだろう。

将来の問題としては、「調べること」と「なやんでいること」とは違う。このあたり、どのように区分していくかが課題となりそうである。ともあれ、このようなプロジェクトが今後もつづいていくことに期待したい。

當山日出夫(とうやまひでお)

『ARG』463号の感想2011-01-26

2011-01-26 當山日出夫

『ARG』463号の感想をすこしだけ。

気になった記事はふたつ(まあ、私の興味、関心のあるところとしであるが)。

京都大学アフリカ地域研究資料センターのTwitter利用開始

http://twitter.com/#!/Africa_Kyoto_U

特に、私の専門がアフリカ研究に直接関係するというわけではない。しかし、いろんな研究機関などが、その活動を、Twitterなどで情報提供してくれることはうれしい。自分自身がフォローしないまでも、重要な情報は、リツイートされて、どこからともなく流れてくるものである。(今までに、そのようにして、私自身、多くの情報を得てきている。)

地域研究、言語研究などで、興味のある研究会などの情報提供に期待したい。

それから、芝浦工業大学でのOPACでの表紙画像利用の件。図書館のOPACとしては、一つのこころみだろうと思う。これはこれとして高く評価したい。

ただ、表紙画像といっても、図書館にはいるときは、カバーがなくなってしまう場合もある。中身はなんのそっけもないことが多い。また、年数を経ると、カバーのデザインだけ変わるということもある。それなりに問題をかかえていることにはなるとおもうのだが、しかし、これは非常に興味深い。

なお、第11回ARGカフェ&ARGフェスト@宮古島、これは興味深い。ちょっと宮古島では、私の場合、都合がつかないのであるが……しかし、ARGカフェを都会でばかりやることもない。地方に行って、その地方の人の話を聞く場をつくることはとても重要なことだと思う。

地方の人どうしが話しをしようと思って、東京にあつまる……これも、考えてみれば、なんだかつまらない話しである。地方も都市部もなく、自由に語り合える場になってほしいと願う次第である。

當山日出夫(とうやまひでお)