英雄たちの選択「国宝誕生 〜アーネスト・フェノロサの挑戦〜」 ― 2026-08-01
2026年8月1日 當山日出夫
英雄たちの選択「国宝誕生 〜アーネスト・フェノロサの挑戦〜」
ゲストで出ていたのは、永井紗耶子と井上瞳。(録画を見終わってから、『秘仏の扉』のKindle版を注文した。『木挽町のあだ討ち』は面白かった。)
日本の近代の美術史、文化財史、ということからは、ほぼ常識的なことであったかと思う。
一番のポイントは、幕末になってからの浮世絵などの西欧への流出と、西欧でのジャポニスムということがあったのだが、それ以外の日本の美術史の流れが、西欧の人びとに認識されるようなこととして、フェノロサを位置づけていたことになる。西欧の美術とジャポニスムということは、よくとりあげられるのだが、それだけで、日本の美術についての西欧の関心を語ることはできない。
そう作ったのだろうが、この番組で言及していなかったのは、明治になってからの壬辰調査、町田久成、それから、三井寺のこと。最後に、フェノロサの墓が大津にあると言っていたが、そこが三井寺だとは言っていなかった。番組の最後のクレジットの部分でも、三井寺の名前はなかった。このあたりのことは、明治になってからの、日本の美術や文化財の歴史を語るときに、かなり微妙な問題をふくんでいるところかもしれない。(三井寺の今の長吏は福家さんなのだが……知っている人である……博識であり、一家言ある人である。)
結果的には、ボストン美術館に多くの日本美術が集まって、そこで、きちんと保管されているのなら、それでいいと思う。こういうことについて、外国に出て行った文化財をもとのところに返せ……という流れがあることは、確かなのだが。フェノロサの場合は、正規に購入したものということなら、それについて、どうこういうべきことではないだろう。(今の文化財の価値観からするならば、ほとんど泥棒に近いようなことだったともいえるかと思うが。)
日本における仏教美術史ということに関連しては、奈良の飛鳥園とかも重要なことになるだろう。また、『古寺巡礼』(和辻哲郎)もある。これは、ちくま文庫で「初版」が出ている。岩波文庫版とは、かなりちがっている。「初版」の方が、ずっと面白い。
学生のときには、『大和古寺風物誌』(亀井勝一郎)をいいと思って読んだ。ただ、戦時中の日本浪漫派の陶酔的な部分は、どうしてもあるのだが。
強いていえば、明治になっての国宝と、現在の制度の国宝とは、違うのだが、このあたりの話しをするとややこしくなるので、戦後になってからの文化財行政については、完全に無視してあったということかなと思う。
聖林寺の十一面観音菩薩像については、戦後の、また、現代の文化財行政として、いろいろあることなのだが、これも、触れないであった。
どうでもいいことかもしれないが、磯田道史が「昭和枯れすゝき」といっていたが、もうこの歌を憶えている人は少なくなっただろう。テレビドラマの「時間ですよ昭和元年」の劇中歌で、歌ったのは、さくらと一郎。映画にもなった。野村芳太郎監督。秋吉久美子が出ていた。たしか、下宿のあった目黒の映画館で見たかと憶えている。もう昔話である。
2026年7月24日記
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2026/08/01/9868541/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。